(※画像はイメージです/PIXTA)

算数が大の苦手の2人の子ども。1人は国語は得意で記述力もある。もう1人は国語も苦手で、読書も大嫌い。さて、最終的にどっちが算数の点を伸ばすことができたでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

読書はテストで点数を取るためにするものではない

読解力はたしかに必要です。Rちゃんのように「を」と「で」の区別がつかない場合は、式を書かせて繰り返し取り組ませる必要があります。「算数はたった1つの助詞で、求めるものがガラッと変わるからね」と根気よく教えるうち、6年生の夏あたりから問題文を正確にとらえられるようになってきました。国語は最後まで低迷したままでしたが、入試直前期には「算数の読解力は百点!」と太鼓判を押すまでに至りました。

 

実は、東大や京大の理系出身者、医学部出身者にヒアリングすると「まったく読書習慣がなかった」という大人は少なくありません。家には本がなかった、太宰治を一度も読んだことがないという彼らは「だって、国語は出題者が望むように答えればいいでしょ」と一様に話します。一方、本が大好きな子は、模試の物語文の世界に入り込んで、主人公に感情移入し、設問に答えるとき不正解となることも。

 

読書量とテストで点数をとる国語力はまったく別物です。点数をとる国語力とは「読解技術」を習得しているか否かであり、これは本来、塾で教えてもらっているはずです。その力をつける良質な問題集もたくさん出ています。

 

読書が入試に直結する要素としては、「通読力(最後まで読み通す力)」「語彙が増える」、そして「多種多様な状況や価値観の習得」が挙げられます。特に難関校以上になると、テーマが戦時中であったり、主人公が地方の独居老人であったり、はたまた男子校の入試問題で女子の初恋の気持ちをあつかったり……。

 

でも、読書によって前提知識を持っていれば大きくひるむことはありません。

 

もちろん、読書はテストで点数をとるためにするものではありません。視野を広げ、心や思考を豊かにし、自分の価値観構築や生きていくためのヒントを得るものです。

 

「うちの子は国語力がないから」といって、それを他科目においても点数がとれない理由にするのはナンセンス。算数は算数、理科は理科、社会は社会の読解力を身につければ大丈夫です。

 

Pointまとめ
● 本好きだからといって、国語のテストで点数がとれるわけではない。
● 国語の点数を上げるためには「読解力」が必要。読解力は習得できる。
● 読解力は科目ごとに磨ける。

 

安浪京子
株式会社アートオブエデュケーション代表取締役
算数教育家
中学受験専門カウンセラー

 

 

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

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