2060年、1診療所あたり患者数は半分以下の可能性も
2020年の人口は1億2600万人ほど、診療所数は10万軒ほどのため、1診療所あたり1260人でした。そして、2040年の1診療所あたりの患者数は880人。2020年の患者数、1260人で割ると約0.69と、2020年比べて患者数は約3割程度減少する計算になります。
2060年の患者数は580人。これも1260人で割ると、約0.46になり、2020年と比べると、患者数は半減する計算になります。
実際には、診療所数が増えるとその地域の医療需要が増えることもあるので、1診療所あたりの患者数はそこまでは減らない、という考え方もあるでしょうが、2060年には、1診療所あたりの患者数は半分以下になる可能性もある、ということになります。
患者数が3割減したら、年収は半減!?
診療所の収入を5000万円、経費は人件費、家賃、その他諸経費で計2000万円、開業医の収入が3000万円だと仮定します。
診療所の来院患者数が3割減ると、収入も比例して3500万円に減り、人件費や家賃などの経費は変わらず2000万円とすると、開業医の収入は1500万円と、2分の1に減少してしまいます。
来院患者数が5割まで減ったとすると、収入も比例して2500万円となり、経費2000万円を変えなければ、開業医の収入は500万円と、6分の1まで減ってしまいます。
ここまで来ると、経費を減らすことを考える人が大半でしょう。医療事務を雇用するには年間300万円から350万円前後、看護師は年間450万円から500万円前後かかるため、医療事務や看護師を減らし、経費を500万円減らした1500万円にすると、収入は1000万円になりますが、それでも3000万円から比べると、3分の1ほどです。
また、家賃を減らすために縮小移転することも視野に入れることでしょう。家賃が高い都心であれば、予約制やIT機器を駆使し、院長1人で10坪くらいの広さで運営するクリニックも出てくるかもしれません。
1000万円も収入あれば十分と思われるかもしれませんが、開業医は所得税や住民税を支払ったあと、クリニックを開設した際の借金も返済しないといけません。多額の設備投資をしていたら、借金を返すことができなくなってしまう可能性もあるのです。