(※画像はイメージです/PIXTA)

「中学受験は算数で決まる」という言葉を聞いたことはありませんか。入試は合計点で決まります。算数1科目で合否が決まるわけではありません。では、なぜ中学受験は算数で決まるといわれているのでしょうか。※本連載は安浪京子氏、おおたとしまさ氏の著書『中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール』(大和書房)から一部を抜粋し、再編集したものです。

「受験算数」は暗記で乗り切れるか

公文で身につくのは計算スピード、そろばんで身につくのは体(指)と頭を同時に使うことによる脳トレ要素と、それぞれにいい面がありますが、「それでもどちらがいいか?」という質問に答えるならば、中学受験に必要な〝計算力〞を短期間に向上させるという意味で公文となります。なぜなら、そろばんは分数や四則混合計算を扱わないからです。

 

公文を選択されたご家庭には、「5年生の夏までにはF教材(6年生相当)を終わらせてください」と話しています。というのも、5年生以降は塾での算数の内容が高度化し、公文に取り組む・通う時間的余裕がなくなるからです。

 

とはいえ、公文も一長一短。「汚い字をすべて消してやり直しをさせる」「とうに習得できている内容でもしつこく繰り返す」といった先生(教室)に当たると、子どもが公文、ひいては計算、さらには算数そのものが嫌いになってしまいます。その兆候がある場合は、F教材まで終わらずとも身を引くほうが賢明です。

 

受験攻略本には「受験は要領」「受験は暗記」と紹介されているという。(※画像はイメージです/PIXTA)
受験攻略本には「受験は要領」「受験は暗記」と紹介されているという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

ところで、受験算数は暗記で乗り切れるのでしょうか? 一定の受験攻略本には「受験は要領」「受験は暗記」という方法が紹介されていますよね。

 

これはYESとも言えるし、NOとも言えます。

 

「丸暗記、詰め込み反対」という論もありますが、暗記をすべて排除したらどうなるでしょうか。「円周率は3.14」を知らなければ、円の問題は解けません。それとも3.14を子どもに発見させますか。

 

そもそも、「受験は暗記」と述べている著者は、たいてい最難関中高から東大や医学部に進んでいます。そしてこれらの本は高校受験生、大学受験生に向けて書かれています。

 

こういった著者が述べる「暗記」は、小学生がよく理解せずやみくもに「暗記」しているのとはワケがちがいます。教科書やテキストを読んで自分で根本理解ができたうえで、さらにさまざまな知識を忘れないようにどう整理し、紐づけるかという「テクニック論」です。

 

受験算数はテクニカルな丸暗記だけでは乗り切れません。和差算を「(和+差)÷2=大」と覚えたところで、設問を読んだときに〝和差算を使う〞と気づかなければアウトです。

 

ただし、4年生の間はこの方法でもある程度復習テストで点数がとれてしまうのが厄介なところ。点数がとれるだけに「この方法でいいんだ」と思ってしまい、その方法を続けてしまいがちです。しかし、実際の入試では、暗記でしのげる問題はごくわずか。そもそも、そのような出題が一切ない学校も多数あります。

 

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中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

中学受験の親たちへ 子どもの「最高」を引き出すルール

安浪 京子 おおた としまさ

大和書房

中学受験では、親が子どもをサポートしようと一生懸命になるほど、無意識に子どもと一体化し、中学受験の迷信に縛られて子どもを追い詰めてしまいがちだ。子どもの人生は合格発表の瞬間に終わるわけではない。大人が子どもの受…

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