在宅医療利用者の「連絡してもすぐに来ない」というクレームが「的外れ」なワケ

コロナ禍の現在、病床のひっ迫などを背景に自宅療養者が増加するなか、これまで以上に在宅医療への注目が集まっています。ただ、同時に在宅医療への「誤った認識」をもった利用者も増えているのが現状です。今回、医療法人あい友会理事長の野末睦氏が、在宅医療を巡る現状について語ります。

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日本における在宅医療の現状と、向かうべき未来

在宅医療は、これからの日本の医療にとって、社会にとって、より重要なものになっていきます。

 

それは、社会的な医療費削減要求を満たすためという側面もありますが、それよりも、より人間らしい「生」をまっとうするためであり、より人間性を満たす社会や、機能的に相互に影響し合うことのできる新しい形態の街を構築するためであり、さらにひと言でいうならば、「より幸せな人生を送るために必須だから」といえるでしょう。

 

そのためには、現在の在宅医療の現状を理解し、そこに含まれる解決課題を認識するとともに、一方では、未来に取り入れ、普及していくべき萌芽に注目し、将来の方向性を探っていく必要があります。

 

そしてこれを実践していくには、医師を含む医療従事者や、福祉事業に携わる人々はもちろん、社会全体で、国民全体で、在宅医療を育てていくという意識が大事です。

 

加えて、在宅医療に携わる医療機関が増えてくるにつれて、在宅医療の提供内容が玉石混交になる恐れも出てきています。

「24時間365日対応」に対する誤解

従来の在宅医療では、医師が患者を診察するとき、前提としてその患者の病歴やここ最近の様子について、あらかじめ把握していることが求められます。

 

なぜなら、そのような情報がないところで、いきなり患者を診ても、バイタルサインと呼ばれる血圧、脈拍、体温、呼吸数などと聴診、触診、視診などで得られる診察所見のみしか得られないので、的確な診断を下すことが非常に困難だからです。

 

たとえ初診の患者でも、あらかじめ診療情報提供書という紹介状にあたるものを前医からもらい、それがない場合でも、地域の包括支援センターや訪問看護ステーションからの情報がもたらされています。それすらもない場合は、いわゆる急性期の状況ではなくて、時間をかけて診断していけばいい患者だといえます。

 

在宅医療に携わる医療機関が「24時間365日対応」と謳っていても、それはあくまでも医療機関と診療の契約を結んでいる患者についてのことです。そのような患者はカルテが作成され、多くの診療情報があらかじめ記載されています。

 

月に一度くらいは、筆者のクリニックの患者ではない地域の住民から、「夜間に発熱しているので往診してもらえないか」などという電話がかかってきます。丁重にお断りしていますが、なかには看板やホームページに24時間対応と書いてあるではないかと、叱責を受ける場合もあります。

 

徒手空拳で向かうこともできないうえ、診療圏の全員を対象に24時間対応をすることなど無理なことは容易に想像できるでしょう。筆者のクリニックの診療圏には、およそ80万人の方々が住んでいるのですから。

 

医療法人 あい友会 理事長

1957年生まれ。82年筑波大学医学専門学群卒業、91年筑波大学臨床医学系(外科)講師。
93年 ハーバード大学医学部マーサチューセッツ総合病院研究員を経て、2002年庄内余目病院院長就任。06年 庄内余目病院創傷ケアセンター長兼務。14年 あい太田クリニック、20年 あい庄内クリニック、21年 あい駒形クリニックを開設。現在 医療法人 あい友会理事長兼 あい太田クリニック院長。
国内の7割以上が常勤医1名の過酷な訪問診療の現状に対し、多人数の医師体制にすることにより多くの患者へ高質な在宅医療特有の専門医療を提供出来る新しいモデルを構築。

著者紹介

連載現役医師が語る「在宅医療」の現状

※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。

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