開業医の子「医師になっても継がない」が増えている本当の理由 (※画像はイメージです/PIXTA)

医療の事業承継は、単に有形の資産を引き継ぐというだけでなく、患者や看護師、医療事務従事者などと、今まで築いてきた人間関係を引き継ぐため、繊細な要素がたくさんあります。さらに、円滑な事業承継をすることは、地域医療を守るうえで、非常に大切なことです。しかし、今、医師の事業承継が円滑にできないのではないか、ということが囁かれています。それは、どうしてなのでしょうか。

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医師の高齢化は多くの事業承継が行われる前兆

現在、高齢化社会が進んでいますが、高齢化の波は、医療業界にも押し寄せています。厚生労働省による「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、平成10年のときの、医師の平均年齢は41.0歳、平成20年のときは、42.9歳、平成30年の時は、44.1歳と年を追うごとに連れて、平均年齢は上がっています。

 

少子化の影響により、今後ますます上昇傾向になると予想されます(資料1)。医師の平均年齢が上がっているということは、近いうちに、世代交代、事業承継が多く行われる可能性があるということを意味します。

 

 

資料1
資料1(クリックすると大きく見えます)

個人事業としての医師のリスクは?

病院は個人事業主の形態をとっていることが多く、医師はシングルプレイヤーであるために、世代交代を円滑に終えることができないと、事業の承継が失敗し、病院経営が円滑に続かなくなってしまいます。個人で経営する病院の事業承継は、子どもが医師として後を継ぐかどうかにかかっています。

 

現在、増加しているのが、子どもが大学受験に失敗するなどの理由で医師にならないというケースよりも、子どもが医師になったのに勤務医や大学教員になり、親の病院を継がないケースです。その理由を「父親に嫉妬する無意識の葛藤感情を抱く『エディプス・コンプレックス』が一因となっている」と語るのは、渡辺医院院長で東京大学医学部非常勤講師の渡辺俊之氏。後継ぎの候補者はいるのに、後押ししても土俵にあがらないために、事業承継ができないのです。

 

後継者がいたとしても、子どもに財産を渡すタイミングや財産の割合によって、事業承継がうまくいかない、ということはよくあります。財産を渡すべき時期と、医師(A)の後継ぎである子ども(B)が立派に成長したタイミングが一緒ならば問題ありませんが、Bが一人前の医師にならないうちに、Aが他界してしまったり、兄弟がいるBに、後継ぎだからといって多くの財産を渡してしまったりすると、AからBにうまく財産が渡らず、円滑な事業承継ができません。また、相続発生時に、遺留分侵害の問題が浮上する可能性が高くなります。

 

A個人の所有地(X)に病院(Y)が建っていた場合は、土地や病院をBに贈与するのか、賃貸するのか、譲渡するのかによって、税務が異なり、事業承継が失敗に終わることもあり、注意が必要となります。XやYを「AがBに賃貸する」なら、Aには不動産所得が、「AがBに譲渡する」なら、Aには譲渡所得がかかります。また、「AがBに贈与する」ならば、Bに贈与税が発生します。節税の観点だけでなく、将来の相続に対して、どのように影響するかが、選んだ方法により異なってくるので、自分に合った選択をすべきです。

医療法人が経営難に陥るタイミングは?

病院が法人になっている場合は、個人事業であるケースとは異なり、院長が所有している持ち分を後継者に譲渡するというシンプルな作業で事業承継は終わります。医療法人は配当ができないので、利益が、会社にどんどんたまり、出資持ち分の評価額は高くなることがあります。そのため、相続の際は相続税額が高くなりますが、一般の会社の株とは異なり、売却も難しいので、相続税を支払う原資を別に用意する必要があります。相続税の支払いのための金融資産を用意することで、会社の資産は減ってしまいます。これらのケースが原因となり、経営が傾く病院が増えるのではないでしょうか。

 

また、M&Aを行った場合、非後継者が相続の時に払い戻し請求権を行使したときも、経営難に陥る可能性が高いので注意が必要です。払い戻し請求権を行使されれば、資金を現金などで用意しなくてはならず、病院が資金不足に陥る可能性が高くなり、M&Aを行った場合は、買い手が購入資金を借り入れすると、資金繰りが悪くなり、事業承継が困難になるリスクがあります(この場合は院長所有の土地に賃貸する形を取ることでリスク回避できる場合が多いですが)。

 

超高齢化社会の時代を迎え、医療の事業承継は、ますます大切になっています。失敗すれば、閉院にもなりかねません。専門家を交えて、節税だけでなく、多角的に事業承継に係る事項を検証し、円滑に手続きを進めたいものです。

 

 

取材協力

渡辺俊之氏
渡辺俊之氏

渡辺 俊之

群馬県佐波郡玉村町出身。東海大学医学部卒。高崎健康福祉大教授、東海大学教授を経て、現在、渡辺医院院長/東京大学医学部非常勤講師。祖父と叔父のやっていた「渡辺医院」を継承し高崎駅前で開業した。家族療法と精神分析が専門の精神科医。
 

 

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不動産コラムニスト、宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP、家族信託コーディネーター®

日本女子大学卒。オフィスヨシイ 代表。現役で不動産取引も行う傍ら、不動産にまつわるコラムを執筆。賃貸、売買、用地仕入れ、不動産投資、不動産コンサルなど、不動産に関する業務を幅広く経験。実体験に基づく、地に足のついた、分かりやすいコラムが好評


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