「ピンホールカメラ」の上下左右がさかさまになる理由
光の直進を利用した道具に、ピンホールカメラというものがあります。
大きな筒に小さな穴をあけ、そこから取り込(こ)んだ光を小さな筒のすりガラスの部分に映(うつ)すというしくみです。
矢印の上と下から出た光は、小さな穴を通るので、上下左右がさかさまになっています。
スクリーンを移動させることで、像の大きさが変わるのがわかるかな?
像が大きくなっても入ってくる光の量は変わらないので、像の明るさは暗くなります。
穴からの距離を2倍にすれば大きさは2倍になりますが、明るさは1/4に、3倍にすれば明るさは1/9になるのです。算数の、相似比と面積比の問題ですね。
「明るくしたいなら穴を大きくすればいいじゃないか」と思うかもしれませんが、穴を大きくするとたくさんの光が入るので、明るくはなるけれど、像がぼやけてしまいます。ぼやけた像しかできないのでダメなんですね。
反射の法則:光の入射角と反射角は等しくなる
次は、光の反射について話をしましょう。
図表4は、左のほうから来た光が鏡に当たって右のほうへと反射していく様子を表したものですよ。このとき、鏡に対して垂直(すいちょく)な線(法線)と、鏡にやってきた光の線とのあいだの角度のことを入射角と言います。
また、鏡に対して垂直な線と、鏡から出ていく光の線とのあいだの角度のことを反射角と言います。
光は、入射角と反射角が等しくなるように反射する。このことを、反射の法則と言います。
反射に関しては、作図ができるようになる必要があります。
用意するものは定規ですね。角度なので分度器を使うと思った人もいるかもしれないけれど、定規だけでOKです。
さっそく説明していきたいところですが、その前に洗面所の鏡の前に立ってください。鏡の向こうには、自分とそっくりな人が立っているはず。この人を偽物と呼びましょう。そして、自分から鏡までの距離と、鏡から偽物までの距離を確認してください。同じですね。
では、説明していきますよ。
鏡の反射:反射の作図をマスターしよう
物体Aから出た光が鏡に反射をしてどのように目に届くのかを、作図していきます。作図のルールと一緒(いっしょ)に説明していきますよ。
①まずはイメージする
物体の端(今回は◆と●の部分)から光がどのように目に向かうのかをイメージします。点線で書いてみました。
②鏡を線対称の軸とした偽物を書く
正確には鏡の表面を線対称の軸とした偽物を書きます。洗面所で確認したように本物から鏡までの距離と、鏡から偽物までの距離が1:1になるように書くことがポイントです。
③偽物から目まで直線を書く
鏡の向こう側に偽物があるように見えるのは、その方向から目に光が入ってきているからです。
④本物から鏡の境界面まで直線を書く
これで完成です。必ず最初のイメージ図と照合してくださいね。
①~④のルールを、しっかり意識しながら行うことが大切です。
立木 秀知
中学受験専門塾ジーニアス