「血液の流れ」「血管の名前」を覚える練習をしよう!
ここからが今回で一番大切なところです。
図表4は、血液がどのように全身を流れているのかを模式的に表したもので、心臓の各部屋にはA~D、血管には①~⑨の番号がふってあります。
心臓からの血液の流れをたどってみると、Cの部屋からスタートして肺を通り、Bの部屋へと戻ってくる流れと、Dの部屋からスタートして全身を通り、Aの部屋へと戻ってくる流れの二つがあることに気がつきます。前者が肺循環(はいじゅんかん)、後者が体循環(たいじゅんかん)です。
肺循環は1本道なので、心臓から離れて肺へ向かう血管①は肺動脈(はいどうみゃく)、肺から心臓へ戻ってくる血管②が肺静脈(はいじょうみゃく)です。
体の各部を通る体循環には、たくさんの道があります。
まず、心臓から離れてすぐ通る血管④が大動脈(だいどうみゃく)です。
大動脈は各部へ向かうために分岐しますが、分岐した先は名前が変わります。たとえば⑥は肝臓に向かうので肝動脈(かんどうみゃく)、⑨は腎臓(じんぞう)へ向かうので腎動脈(じんどうみゃく)です。腎臓を過ぎたあとは心臓へ戻るので⑧は腎静脈(じんじょうみゃく)、いろんな静脈が合流して、最終的に心臓へ戻っていく③は大静脈(だいじょうみゃく)です。
血管の名前のつけ方のルールがわかっていれば、そんなに難しくはありませんね。
唯一の例外は門脈。小腸で吸収した栄養を肝臓に送る血管が門脈です。
矢印の向きにしたがいながら、「あ、いまはDだから、えーとここは左心室だな」、次は「④にきたぞ。えーと心臓から離れていっているな。ということは、ここは大動脈だ」というように確認しながら、何周も何周も全身をめぐってください。この作業を何度も行うことが、今回の学習で一番大切です。
同時に、各部を通るとき、たとえばDの部屋なら、「いまから全身をめぐるから、ここは筋肉の壁が一番厚いところだ」というように特徴(とくちょう)を意識しながらできれば完璧です!
それ以外で意識してほしいのは、下の5個です。
●もっとも酸素の多い血液が流れている血管の名前
●もっとも二酸化炭素の多い血液が流れている血管の名前
●もっとも不要物の少ない血液が流れている血管の名前
●食後、もっとも養分の多い血液が流れている血管の名前
●普段(ふだん)、もっとも養分の多い血液が流れている血管の名前
酸素と二酸化炭素は肺で交換(こうかん)されますから、酸素がもっとも多いのは、交換(こうかん)が終わったばかりの②(肺静脈)。
逆に、二酸化炭素がもっとも多いのは、肺に戻る直前です。だから①(肺動脈)になります。
もっとも不要物の少ないのは、腎臓を過ぎた⑧(腎静脈)。腎臓は、尿素(にょうそ)をこし取って尿(にょう)をつくるところです。
食後に一番養分が多いのは、⑦(門脈)。小腸(しょうちょう)で吸収した栄養は、門脈を通って肝臓に送られています。
肝臓では、送られてきた養分をグリコーゲンとして蓄えます。普段はその蓄えたものを、少しずつ血液に流しているのです。
だから、普段、もっとも養分が多いのは、⑤(肝静脈)になります。
このことを意識しながら、全身をめぐる作業を何度も繰り返してから、心臓の図が書いてあったページに戻ってみてください。
最初見たときには、「こんなの覚えられるはずがない」と思った図が、さっきより頭に入ってくるのではないかな?
心臓の図を見て、血液の流れや、各血管の名前がパッと頭に思い浮かぶようになったら、この練習は完了です。
まだいくつか話していないことがあるので、この項目は次回に続きます。
立木 秀知
中学受験専門塾ジーニアス