渋沢栄一の言葉の中には現代からすると古く、説教臭く感じる言葉もあります。けれどもそんな言葉も「お笑い中間管理職」の目で眺めると身近な言葉に感じられるといいます。歴史好きとして知られるお笑い芸人のビビる大木さんは一体何を感じ取ったのでしょうか?※本連載は、ビビる大木氏の著書『ビビる大木、渋沢栄一を語る』(プレジデント社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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「やっぱりアメリカはネットフリックスがあるんだ」

米国人気質の長所、敢為の気質を大いに学ぼう

多くの米国人に接して、米国気質なるものを察するに、総じて直情径行、学問を重んじて敢為(かんい)の気質に富み、思ったことは必ず果たすという風がある。

【『渋沢栄一訓言集』道徳と功利】

 

■米国人が持つ実行力に、渋沢さんは注目した!

 

明治維新後の日本は確かに、アメリカを始め、外の様子が異様によく見えたはずです。見るもの、聞くもの、驚きの連続だったでしょう。

 

渋沢さんの場合は、もう少し時代が下り、大正時代の終わりから昭和の初期の頃に、民間外交を繰り広げた際にアメリカにも幾度も行っていました。そのときの感慨の言葉でも、アメリカ人の実行力のすごさ、そのフロンティア精神を讃えていました。

 

現在の僕たちもやはり、「うわあ、やっぱり、アメリカはネットフリックスがあるんだ、アマゾンがあるんだ、いわゆるGAFAはアメリカですもんね。アップルとか、あ、iPhoneとかつくっちゃうんだ」みたいな感覚があります。厳密にGAFAの方たちすべてがアメリカ人かどうかはまた別ですが、アメリカから来たものはたくさんあります。

 

今の僕たちも、アメリカから来たものに学んだり、学ばなかったりでいいのではないでしょうか。僕たちはアメリカの品物との出会いにも時間が経っているので、自分にとっての良い悪いを自分で選ぶべきだと思います。

 

そして、アメリカに限らず、もらえるものはもらい、いらないものはお返しするということがあってもいいように思います。これまで、日本人はもらえるものはもらうけれど、いらないものも返さなかったのです。全部もらっていました。日本人は異様なもてなしぶりだったと思います。日本人はだから、アメリカに利用されるのではないでしょうか。

 

■「俺は謝る必要はないよ」の強烈さに、痛い僕

 

アメリカ人の会話には必ず主語が入りますが、日本人はその点が奥ゆかしいので、悟ってくださいとばかりに、主語が入ったり入らなかったりです。この点が、外国人の方との大きな違いではないでしょうか。

 

渋沢さんからしますと、「結局、何が言いたいのか」がハッキリとしているので話がわかりやすかったんだと思います。日本人にとっての良し悪しを別として、確かにそれはあると思います。

 

「ニュース23」を見ていたときのことです。8月はどうしても「戦争を問い返す季節」ですので、過去の映像も流れます。僕は、アメリカ人の科学者が広島の被爆者と会話されている映像をたまたま見ました。

 

被爆者の方がはっきりと、「なぜ、あんなものを落としたのですか、謝ってほしい。そこまでやる必要はなかったじゃないか」と話しますと、通訳を途中で遮って、その科学者は「謝らない」と断言されていました。

 

「謝らない、俺は悪くないから。俺たちへの命令は核をつくれという指令だった。俺はそのとおりにやっただけだ、それをなぜ謝らなきゃいけないんだ」

 

「俺も、仲間を日本人に殺されているんだ。俺たちには、『リメンバーパールハーバー』という言葉がある。俺たちはあれをつくれという指令を受けただけ。なんで俺が謝らなきゃいけない」

 

そんなことをずっと話されていました。

 

アメリカ人の立場で考えると、良い悪いは別にして、そういうものなのかもしれません。ただ、僕は一人の日本人として、そのアメリカ人に「冷たいな」と思いましたし、アメリカ人はそういうことを何十年経っても平気で話す国民なのだと感じました。被爆者の方も、「結局、何もわかってもらえないんですね」と言って帰っていきました。

 

しかし、あの場ではっきりと原爆を落とした側が「謝りたくない」と言えるのがアメリカ人の考え方です。僕がそのアメリカ人科学者であれば、「私個人としては、今は申し訳ないと思っている」と話してしまうかもしれません。

 

そこを、「俺は謝らないよ、悪くないもん」と言えるアメリカ人気質は強烈です。たぶん日本人気質にはないものだと思います。

 

 

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ビビる大木、渋沢栄一を語る

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ビビる 大木

プレジデント社

歴史好き芸人・ビビる大木が、 同郷の偉人・渋沢栄一の遺した言葉を紐解く! 「はじめまして、こんばんみ! 大物先輩芸人と大勢の後輩芸人の狭間で揺れる40代『お笑い中間管理職』の僕。芸人としてこれからどうやって生き…

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