ワインの「独占販売と並行輸入」…何が違うのか?
2021年7月、シャンパーニュのルイ・ロデレール社が初めて醸造した、コトー・シャンプノワの赤と白が日本で発売されました。「オマージュ・ア・カミーユ」と名付けられたこのワインの、正規輸入代理店の希望小売価格は41,800円(税込)で、インターネット上の複数の小売店で希望小売価格のまま売られ、赤ワインに関しては発売直後に売り切れました。
一方、ワインの小売価格の世界的な検索サイトであるwine-searcher.comで同じワインを検索すると、スイスやオランダでは邦貨にして税込16,000~18,000円程度で小売りされています(筆者原稿執筆時点)。
日本の酒類業界では、海外の商品を輸入・販売する際、その生産者と独占輸入販売契約を結び、輸入業者がその商品の国内総発売元としてブランド管理までも行うのが慣例となっています。
酒類ビジネスにおいては、好ましいブランド・イメージの構築が非常に重要であるため、輸入業者が中心となってブランド広告やプロモーション、販路の拡大に投資を行うのですが、こうした輸入業者のマーケティング費用や利潤が上乗せされた日本の小売価格は、国際価格よりも高くなりがちです。この価格差を利用して利ざやを得ようとするのが並行輸入業者で、通常は第三国の輸入業者から保税の状態で*商品を買い取り、マーケティング費用を一切かけず、価格訴求のみで、量販店等に商品を流します。
*第三国における輸入手続がまだ済んでいない状態で、第三国の酒税・関税・付加価値税等はまだ課税されていない。
通常、並行輸入業者が支払う商品価格は、正規輸入業者が生産者に支払う代金よりも割高なのですが、マーケティング費用や中間流通コストを省くため、特別な場合を除いて、店頭価格は並行輸入品の方が安くなります。
日本がバブル経済に浮かれた1980年代後半、百貨店店頭で販売されていたギフトボックス入りヘネシーVSOP(正規輸入品)の価格は1万2,000円でしたが、酒類ディスカウンター店頭では簡素な紙箱に入った並行輸入品が3千円台後半で売られていました。
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