(※写真はイメージです/PIXTA)

欧米で株式や債券と同じように投資対象として人気を高めている「ワイン」。本記事では、投資対象として知っておきたいワインの知識のひとつ、「正規輸入と並行輸入」について解説していきます。

ワイン・オークションで評価される「正規輸入品」

日本で行われているワイン・オークションでは一般に、正規輸入代理店の裏貼りのあるボトルは並行輸入品に比べ、10~20%程度の高値で落札されています。プレミアムが支払われる理由として、ブランド管理を行っている正規インポーターの輸入・保管状態のほうが信頼できる点が挙げられます。

 

銀座のクラブ等のナイト・マーケットでドン・ペリニョンが大量に消費されていた1990年代、モエ・エ・シャンドン社の並行輸入対策が現在よりも緩かったこともあり、日本市場では大量の並行輸入品が出回っていました。納入価格だけで競う並行輸入業者の中には、熱によって劣化しやすいシャンパンすら、冷蔵コンテナではなく、コストの安いドライコンテナで輸入する業者があり、こうして輸入されたボトルには、正規輸入品よりも熟成が進んだニュアンスを感じるものがありました。

 

ドン・ペリニョンのボトルには暗色ガラスが使われているため、外からワインの色調をチェックすることができませんし、ボトルネックがシールで覆われているため、液面の高さを正確に知ることが困難です。抜栓前にワインの状態を確認することが不可能なため、正規輸入品にプレミアムが支払われるのは当然のことといえます。

 

歴史的に、オークションで正規輸入品がより高値で落札されてきた理由のもうひとつは、偽造品の可能性の低さです。贋物が広く出回っているロマネ・コンティやシャトー・ペトリュスの場合、ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ社の正規輸入代理店である株式会社ファインズや、シャトー・ペトリュスを所有するムエックス社と関係の深かった旧ジャーディン・ワインズ・アンド・スピリッツ社の扱ったボトルは、生産者から直接日本に届いていると考えられるため、輸入業者から直接購入している限りは信頼できました。

 

しかしながら近年、インターネット上のオークション・サイトで売られているロマネ・コンティの偽物のほぼすべては空瓶を再利用したもので、その多くには正規輸入代理店の日本語ラベルが貼られています。これは、「正規輸入品は大丈夫」という消費者心理を逆用するものです。

 

こうしたオークション・サイトには、ロマネ・コンティの空瓶も出品されているのですが、正規輸入代理店の裏貼りのある近年のヴィンテージは20万円を超える価格で落札される一方、並行輸入品の空瓶は買い手がつかない状態が続いています。

 

 

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