何度もブームを繰り返し、今や生活に定着した感のあるワイン。一方、欧米に目を向けると、ワインは株式や債券と同じように投資対象として人気を高めているという。本連載では、ワイン研究の第一線で活躍する堀賢一氏が、ワインマーケットの現状と今後の見通しについて解説する。今回は、海外のレストランではよく見かける「BYO」について見ていきます。

レストランに表示されている「BYO」とは?

日本では考えにくいことですが、欧米の多くの国々ではレストランも酒類小売店とみなされており、店内でワイン等の酒類を販売するためには酒類小売販売免許が必要となります。アメリカ合衆国やオーストラリアといった、酒類消費に関しての規制が厳しい国々では、こうした業務用酒類販売免許の取得は容易ではなく、免許の取得に膨大な費用を要するため、資金的に余裕のない一部のレストランは酒類販売免許をもたず、顧客に自分のボトルを持参することを推奨しています。

 

“BYO”とは “Bring Your Own (Wine)” の略で、「(店内では酒類の販売をしていませんので)自分で持ってきてください」という意味です。顧客は通常、近隣のワインショップで好みのワインを購入し、それをレストランに持参します。レストランへのマージンを払う必要がないため、格安でワインを楽しむことができるだけでなく、ワインを自宅のセラーから持参して、まるで自宅の食卓の延長のようにレストランでの食事を楽しむことができます。

 

また、店内でワインの販売を行っていても、少額のコーケイジ(抜栓料)を支払うだけで、持ち込みを許してくれるレストランも数多く存在します。ボルドーのメドックにあるリヨン・ドールは郷土料理の素晴らしさもさることながら、無料でワインの持ち込みを許しているために、夜ごと、近隣のシャトーのオーナーが自分たちのワインを持ち寄ってディナーを楽しんでおり、ボルドーでもっとも予約を取るのが難しいレストランとなっています。ワイン関係者は顔見知りでなくともお互いに持参したワインを交換して批評しあい、熱気を帯びた議論が交わされます。

 

店舗が積極的に顧客に推奨してはいないものの、巨大なワイン産業を抱えるカリフォルニアでは、ほとんどのレストランでBYOが可能です。予約の時点でレストランに問い合わせることが最良ですが、予め伝えていなくとも、着席したテーブルに持参したボトルを載せておくだけで、ウェイターが「当店のコーケイジは1本あたり15ドルですが、よろしいですか?」といったような説明をしてくれます。

 

BYO…日本のレストランでは?

ワイン文化が成熟するにつれ、日本でもワインの持ち込み可能なレストランが増えてきました。インターネットを検索すると、BYOが可能なレストランを紹介しているサイトも複数見つかります。たとえば、阪急百貨店が運営しているWinomy(ワイノミ)では、東京都内を中心に240店ほどのレストランが紹介されており、無料の会員登録をすれば、サイトからの予約も可能になります。日本でのコーケイジは一般に1,500~5,000円程度で、レストランでのワインの販売価格がワインショップでの小売価格の2~3倍であることを考えれば、高額ワインであるほど割安感があります。

 

筆者のお勧めは、まず、自分の好みのレストランを見つけて何度か通い、顔見知りになったところで、ソムリエや支配人にBYOのお願いをすることです。というのも、ワインの持ち込みが可能かどうかよりも、料理がおいしいかどうかの方が重要だと考えるからです。私個人は都内の数店舗に、定期的にワインの持ち込みをお願いしています。

 

また、会員制を取っているレストランでは、レンタル料を払うことによってセラーの一区画を借りて自分のボトルを保管し、メインダイニングやバーなどで、そのワインを楽しむことができます。南青山の閑静な住宅街の中にあるロアラブッシュは、結婚披露宴などで人気のある瀟洒な洋館のレストランですが、会員になると専用のラウンジや個室を無料で使用することができ、地下のワインセラーに12~18本ほど入る個人用の区画を借りることができます。会員用ラウンジは深夜遅くまで使用可能なため、二次会用に非常に重宝しています。

 

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