事業承継やM&Aにおけるハードルは何か。以前であれば、その1つに「資金調達」があげられたでしょう。ところが最近、資金調達の目途がついた後、当事者間の合意が取れて順調に話が進んでいたにも関わらず「意外な横槍」を受けて破談に至るケースが増えています。一体なぜこのようなことが起きているのでしょうか? 中小企業の経営支援を幅広く行う筆者が、事業承継M&Aにおける「嫁ブロック」を解説します。

国や自治体が後押し…ハードルが下がった「M&A」

現在、業績の落ち込みがひどくなくとも、今回のコロナウイルス感染症拡大を契機に、廃業を検討する高齢の経営者が増えています。そんななか、廃業ではなく次世代に貴重な経営資源や技術を引き継いでいこうと、事業承継、M&Aなどの拡大を国や自治体も後押ししています。

 

特にM&Aについては売買価格にして100万円以下の比較的小さい規模の案件も増えてきており、脱サラしていきなり経営者になるという夢の実現や、手っ取り早い起業、事業拡大の手段としても注目を集めています。

 

以前であれば、資金調達が1つの大きなハードルでしたが、最近ではクラウドファンディングなど選択肢が拡大し、さらに景気下支え施策もあり、意外と資金調達がしやすい環境になっています。

 

しかし、無事に資金調達も目途がつき、当事者が合意して順調に話が進んでいたところで、意外な横槍が入り、最終的に話が頓挫してしまうケースが近頃増えています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

資金調達よりはるかに難敵…身近な脅威「嫁ブロック」

「嫁ブロック」という言葉は、中途採用や人材紹介に携わる方々なら思わずゾッとするキーワードです。

 

少し説明すると、ここでいう「嫁ブロック」とは、転職活動の結果、晴れて内定を獲得した転職希望者が、最後の最後に「年収が下がるのではないか」、「今の職場の待遇のほうがよいのではないか」と危惧する奥様の横槍で、180度方針転換して内定を辞退してしまう、というものです。

 

実は最近、同じようなことが事業承継やM&Aの場面でも増えています。

 

過去、事業承継であれば家族などの近親者での承継が一般的でした。いわゆる親族内承継です。しかし、近年は従業員などへの親族外承継が増えてきており、M&Aもその手段の1つとして活用されています。

 

親族内承継であれば見知った人々との間で進めていくため、比較的スムーズに進む案件が多いです。事業用資産の引き継ぎについても相続対策ができる可能性もあります。

 

一方で、従業員への承継については社内外の理解を得やすいメリットもあるものの、株式を買い取る資金が必要になるため、場合によっては融資などの資金調達が必要になります。資金面のハードルが上がるものの、親族に後継者がいない場合などは現実的な方法として挙げられます。

 

コロナ禍ではありますが、先述の通りM&Aや事業承継の融資については、一時に比べて資金を調達しやすい環境になっています。

 

現経営者からの事業承継が進まず、もし廃業してしまえば債権を回収できないため、取引先金融機関としても支援的に対応してくれるケースが多いように感じます(もちろん、今後の事業計画や返済可能性について金融機関の眼鏡にかなうことが前提とはなります)。

 

親族内承継であれば、家族内できちんとコミュニケーションさえきちんと取れていれば揉めるケースはそう多くありません。

 

ところが会社を他人に譲り渡す場合、ここで、現社長の奥様、そしてこれから社長になるであろう方の奥様による「嫁ブロック」が発生するのです。

 

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