日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回は厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』などから医師の給与事情に焦点をあててみましょう。

2000年代、会社員の平均年収は減少…勤務医は?

会社員の場合、「給与が増えない」ことが話題になります。国税庁『民間給与実態統計調査』によると、21世紀が幕をあけた2001年、会社員の平均年収は4540円でした。それからITバブルの崩壊、リーマンショックと経済に大きなインパクトを与える出来事が日本を襲いました。それに伴い、会社員の平均給与も前年比割れを連発し、2009年には405万9000円を記録。2010年代はアベノミクス効果もあり、幾分、盛り返しましたが、2019年は436万4000円と、2001年の値の96%という水準になっています。

 

では医師の平均年収はどうでしょうか。再び、厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』から紐解いていきます。

 

※2020年から集計方法が変更になったため、2019年までの調査を参考にします。

 

2001年の推定年収は1250万5000円。2004年には1227万7000円に達しましたが、その後は1000万~1100万円代で推移。2019年は1169万2000円と、2001年の93%。2001年度比という点では、会社員も医師もマイナスを記録している点では共通しています。

 

しかし前年との比較を見ていくと、2000年代にマイナスを連発した会社員に比べて、医師は2010年代のほうが前年比マイナスが目立ちます(図表)

 

[図表]会社員と医師の給与の推移

 

医師の給与は医療行政に左右されるところが大きく、会社員の給与の動きとはリンクしないことが多いようです。しかし今回のコロナ禍では一般企業はもちろん、病院も大きな影響を受けています。コロナ患者の受入れ病院等は対前年でのマイナスが継続しているという報道もあり、医師の給与面でも厳しい局面が続きそうです。

 

 

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