ゾンビ企業に温かく援助を続ける銀行の「極めて冷静」な胸算用 (※写真はイメージです/PIXTA)

長引くコロナ禍、多くの人が行動を制限され、経済も打撃を受けています。しかし、具体的な数字を追ってみると、企業の倒産数は意外なほど少なく、肌感覚と数字の乖離に疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。実は、倒産件数が少ない背景には、政府による手厚い資金繰り支援等があるのですが、銀行独自の判断によるサポートも存在しているようです。しかし、なぜ銀行は倒産ギリギリの企業を見限らないのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

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倒産が少ないのは、銀行の「延命治療」のおかげもある

新型コロナで苦しんでいる企業が多数あるのに、倒産件数は意外なほど少ないまま推移しています。これに違和感を覚える人は多いのではないでしょうか。

 

資産が残っているあいだに廃業すれば倒産にはならないので、廃業している飲食店等々は多数あるけれども、倒産の統計には載っていない、ということもあるでしょう。

 

政府がさまざまな補助金を出したり、政府が保証して銀行に貸出を促したりしているので、それが倒産を抑制している、ということもあるでしょう。

 

銀行が赤字の借り手を優しく見守って、新型コロナが終わって黒字に戻るのを待ってあげている、という場合もあるかもしれません。

 

しかし、銀行が待ってあげているのは、立ち直る可能性が高い企業ばかりとは限らないのです。なぜなら、銀行にもゾンビ企業を延命させるインセンティブがあるからです。それは「立ち直る可能性がない企業でも、生かしておけば貸出の一部は回収できる」からなのです。

借り手の減価償却が、銀行の回収の原資に!?

100万円を借りて設備投資をした企業が赤字に陥り、黒字化の見込みが立たなくなったとします。銀行には借り手から「毎年1万円の赤字が続きます。借入を全額返済することはできません」という連絡が来るでしょう。そんなとき、銀行は借り手を直ちに潰して資金を回収するとは限りません。

 

借り手を潰して資金を回収しようとすると、買ったばかりの設備機械がスクラップ業社に買い叩かれて、貸出金がほとんど回収できなくなってしまうかもしれないからです。

 

それよりは、生かしておいて借り手が元気になる可能性に賭けたほうがいいということもあるでしょうが、より重要なのは「生かしておいたほうが回収額が増えるから」ということなのです。

 

100万円借りて買った機械の減価償却が10年だとすると、毎年10万円です。10万円の減価償却をした結果として決算が1万円の赤字だ、ということは、借り手の金庫には毎年9万円の現金が積み上がっていくはずなのです。

 

10万円の材料を仕入れて作った製品が19万円で売れて、10万円の減価償却を引いて赤字が1万円ということだとすると、現金は入金が売上の19万円で出金が材料費の10万円ですから、差し引き9万円は借り手に残るのです。

 

毎年9万円ずつ銀行が回収していけば、10年で90万円が回収できます。満額の回収は無理だとしても、すぐに潰してしまうよりは回収額が多くなる、というわけですね。

 

経済評論家

1981年東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の仕事に従事したのち、2005年に退職して久留米大学へ。現在は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は勤務先と無関係に個人として行なっているものであるため、現職欄には経済評論家と記すものである。

著書に、『老後破産しないためのお金の教科書―年金・資産運用・相続の基礎知識』『初心者のための経済指標の見方・読み方 景気の先を読む力が身につく』(以上、東洋経済新報社)、『なんだ、そうなのか! 経済入門』(日本経済新聞出版社)、『退職金貧乏 定年後の「お金」の話』『なぜ、バブルは繰り返されるか?』(以上、祥伝社)、『経済暴論』『一番わかりやすい日本経済入門』(以上、河出書房新社)など多数。

趣味はFacebookとブログ。

著者紹介

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