※画像はイメージです/PIXTA

「笑い」は筋肉を使用する運動であり、ストレスホルモンの減少も促すなど、体に良い行為です。本記事では在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき院長の宮本謙一氏が、在宅医療と「笑い」について、医師の立場から解説していきます。

難しい方法は必要なし…コミュニケーションと「笑い」

「笑いは伝染する」という言葉を使ったり聞いたりしたことのある人は多いと思います。誰かが笑うと、その周りの方も自然と笑顔になり、自ずと笑えるようになります。言葉が通じなくても、笑うこと、あるいは笑顔を見せるだけでも、心が通じ合えることが多いのです。

 

在宅療養している高齢者の方には、難聴の方も数多くいらっしゃいます。そのため筆談を用いることもありますが、筆談には非常に時間がかかり、視力障害や認知症により筆談が困難な方も少なくありません。そんなときこそ、笑いが重要です。

 

私が笑えば、ほとんどの患者さんは笑ってくれます。患者さんが笑えば、私も自然と笑います。お互いに笑えば、質問もしやすくなり、つらい症状を訴えることも容易になります。問診も、診察も、治療方針の説明も、雑談も、すべてがスムーズになるのは笑いのおかげです。難しい方法を使わなくても、笑うことだけで、コミュニケーションを改善することができるのです。

医師が考える、「在宅療養」の最も重要なキーワード

在宅医療の現場では、笑いはコミュニケーションを改善するだけではなく、周りのみんなが救われることがよくあります。

 

たとえば重い病気でつらい症状があり、常に険しい顔をしている患者さんがいたとします。介護している家族、主治医である私、あるいは訪問看護師など患者さんに関わるすべての関係者が、みんな同じように険しい顔で診察したり話をしたりしていると、患者さんの心身の苦痛は減少することなく、どんどん増していくかもしれません。

 

しかし、たとえば趣味の話など、患者さんが喜ぶ話をしたり、何か笑わせるような面白い話をしたりすることで、険しい表情をした患者さんを少しでも笑わせることができれば、その場にいる家族も私も、あるいは訪問看護師などの関係者も、みんなホッと救われたような気分になると思います。

 

ちょっとした笑いをきっかけに、場の空気が変わり、患者さんの表情が明らかに和らぐことは、私もしばしば経験します。そういった「ちょっとした笑い」を目指して、日々いろいろ工夫して診療を行っています。

 

私は、「楽しむ」「笑う」ということが、在宅療養の最も重要なキーワードであり、最大の目的であると考えています。在宅療養に関わる医療従事者や介護関係者は、患者さんや家族の笑顔を少しでも増やすことができるよう仕事をしている、そういってしまっても過言ではありません。たくさん笑いたいために在宅療養を選択する、そういった方が増えるといいと思います。

次ページ「在宅療養に関わる専門職」がいつも考えていること

※本連載は、宮本謙一氏の著書『在宅医療と「笑い」』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

在宅医療と「笑い」

在宅医療と「笑い」

宮本 謙一

幻冬舎メディアコンサルティング

在宅医療は、通院が難しい高齢の慢性疾患の患者さんや、がんの終末期の患者さんなどが、自宅で定期的に丁寧な診察を受けられる便利な制度です。 メリットは大きいのですが、うまくいかないときもあります。 医師や看護師…

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