好感度の高さはリピーターと新規顧客の集客に繋がる
前回に引き続き、患者に選んでもらえる歯科医院にするためのポイントを見ていきます。
患者さんから好かれる歯科医に多いのが、親しみのある「笑顔」と患者さんとの会話を弾ませる「会話力」を持っていることです。
「本当に歯科医に笑顔と会話力は必要なのだろうか」そんな疑問を持った方もいらっしゃるかもしれませんが、歯科医にとって笑顔はとても大切です。最初の挨拶、会話もなるべくにこやかに。一瞬笑って見せるだけでなく、「あの先生はいつも笑顔だなあ」という印象が残るくらい、笑顔を忘れないようにしましょう。単純ですが、こうするだけで患者さんからのイメージは劇的によくなり、「あの先生はいい人だ」ということになります(図表参照)。
また、最近の歯科医院ではインフォームド・コンセントの徹底が求められます。そのため、患者さんに対し、現在の患部の状態や治療内容を、できるだけわかりやすく説明しなければなりません。にもかかわらず、言葉がボソボソと不明瞭で聞き取りにくかったり、ぶっきらぼうな話し方をする先生は、どうしても敬遠されてしまいます。
多少の世間話などで場を和ませ、コミュニケーションを深めることも重要です。特に、お年寄りなどは話好きの人も多いですし、小さな子どもの患者さんには、緊張をほぐすために興味をひくような話を優しく投げかけてあげるなどすると、確実に親御さんの心証はよくなります。
いつでも愛想よく、誠実な態度で会話していれば、ぐんぐん好感度は上がります。もちろん、心にもないお世辞をいったり、調子よくしゃべりすぎたり、なれなれしすぎるのは完全に逆効果ですが、ほどよく会話を交わす分には、治療の回数を重ねるたびに患者さんと仲よくなれるはずです。そうなると、その患者さんは「また定期検診や虫歯のときは、ここに来よう」と、高い確率で思ってくれるものです。
それに、患者さんが「○○歯科は感じがいいよ」と友人・知人に話してくれれば、さらに患者さんを獲得するチャンスは広がります。この手の口コミは常に日常会話の中に登場し、想像以上の効果を発揮するので、侮ることはできません。
【図表 好感度の高い歯科医師になるためのポイント】
歯科医にとって会話力の欠如は大きな問題と心得る
しかし、中には口下手な方もいるはずです。筆者が知る方にも、人柄はとても誠実なのですが、寡黙で人と話すのが大の苦手という先生がいらっしゃいました。歯科医には、こんなにも対人スキルや会話力が求められるものだとは思っていなかったようです。案の定、この歯科医院は経営状況が芳しくありません。立地条件や建物の外観などに大きな問題はなかったため、やはり院長先生のコミュニケーション能力に問題があるように推測されました。
このように、会話力の欠如は歯科医にとってあまりにも大きすぎる欠点です。改善するためには、冗談抜きで「話し方教室」に行くなどの行動を起こすことが大切です。「ビジネスマナー研修」のようなものを受講して、印象のよい人になるためのルールを学ぶのもよいでしょう。
ですが、自覚はあっても、なかなかそこまで踏み出せる人がいないというのが実情です。清潔感や明るさ、会話力の高さは、歯科医だけでなくスタッフにも求められる資質です。スタッフの一挙手一投足は、患者さんによって観察されているものであり、落ち度があると簡単に患者さんは離れてしまいます。それなのに、スタッフ教育を軽視して、問題のあるスタッフを置いている歯科医院も少なからず見かけます。