(写真はイメージです/PIXTA)

相続を巡るトラブルは尽きないもの。家族や親族の話し合いでなんとかなる……わけもなく、岡野雄志税理士事務所のもとには、様々な相談が届きます。今回は、父親の通夜の晩に起きた相続トラブルについて、税理士の岡野雄志氏が解説します。※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

親からの借金は贈与?税務調査の対象になる場合も

国税庁の「No.4420 親から金銭を借りた場合」には、以下のような文言があります。

 

 親と子、祖父母と孫など特殊の関係がある人相互間における金銭の貸借は、その貸借が、借入金の返済能力や返済状況などからみて真に金銭の貸借であると認められる場合には、借入金そのものは贈与にはなりません。

 しかし、その借入金が無利子などの場合には利子に相当する金額の利益を受けたものとして、その利益相当額は、贈与として取り扱われる場合があります。

 なお、実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている場合や「ある時払いの催促なし」又は「出世払い」というような貸借の場合には、借入金そのものが贈与として取り扱われます。

 

親が子に金銭を用立てると、「ある時払い」「出世払い」となりがちです。しかし、上記のように、それは贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。Rさんの次男がよほど生活に困窮していれば借金となる場合もありますが、返済を行っていなければ、やはり贈与とみなされます。

 

また、無利子で借りていれば利息分に贈与税がかかります。「親子で利子なんて……」と思うかもしれませんが、常識的に見てあまりに低金利でも贈与とみなされます。住宅購入資金として貸し付けるなら住宅ローン金利、車購入ならマイカーローン金利を目安にするとよいでしょう。

 

それでは、他人同士なら無利子・返済期限なしでも贈与にならないかというと、そういうわけではありません。贈与税は、個人が自分以外から現金、預貯金、有価証券、不動産などの財産を受け取ったら、その受け取った人にかかる税金です。

 

家族であれ、他人であれ、貸付金なのか、贈与なのかは、金銭をやり取りする際に明確にしておくべきでしょう。貸付金であれば「借用書」を作成して取り交わすべきですし、「贈与」であれば、たとえ親子であっても、「贈与契約書」を取り交わしておくことをおすすめします。

 

贈与の場合、贈与を受けた人(受贈者)が、財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までに贈与税を申告・納税することになっています。期限までに申告しなかったり、実際にもらった額より少なく申告したりすると、加算税が上乗せされます。また、納税が期限に遅れると、その遅れた税額に対して延滞税がかかります。

 

現金手渡しなら、贈与が行われたかどうかわからないだろうと思うかもしれません。しかし、そのお金で車を買ったとしましょう。税務署は購入資金をどこから得たか調べます。後日、税務署から「お尋ね」という文書が届いたら、贈与税の申告漏れを疑われている可能性があります。

 

よしんば贈与税の税務調査を免れたとして、親子ならいずれ相続が発生します。相続税の税務調査の対象になる確率は、今や4~5人に1人。税務署は亡くなった被相続人や相続人の預貯金も徹底的に調べます。不明な入出金があれば問合せされ、税務調査の可能性が出てきます。

 

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