前回は、委託者から受託者に移転された財産(信託財産)は、委託者・受託者、どちらのものになるかを説明しました。今回は、信託独自の「倒産隔離機能」について見ていきます。

信託財産は「誰の財産でもない」!?

信託が設定されると、信託財産の所有権が、委託者から受託者(信託会社等)に移転し、信託登記と同時に所有権移転登記をします。そのとき信託財産は、受託者の名義になりますが、その財産は、信託の目的に従って管理・処分されるものとして受託者固有の財産から独立したものとされます。

 

つまり、信託財産は委託者、受託者いずれの財産からも独立して存在するため、委託者及び受託者の債権者は信託財産に対しては強制執行することができず、万が一、委託者及び受託者が破産しても、信託財産は委託者の破産財団には属さないことになります(図表参照)。

 

このように、委託者及び受託者双方の破産から隔離される機能を「信託の倒産隔離機能」といいます。この倒産隔離機能は信託独自の機能ともいえます。また、英米法では信託財産を「誰の財産でもない」(Nobodsy’property)という場合がありますが、意味としては同じことです。

 

【図表 信託財産は受託者、委託者の双方から独立して存在する】

 

【POINT】

① 信託財産は委託者からも受託者からも独立して存在する
② 信託財産は委託者、受託者の破産の影響を受けない
③ 倒産隔離機能は信託独自の機能

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『資産運用と相続対策を両立する不動産信託入門』から抜粋したものです。その後の法改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

編著 千賀 修一

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢の不動産オーナーなどは、老後の不動産管理や賃貸経営、そして相続に関して、さまざまな不安要素が生じてくるものです。不動産管理に関する知識がなかったり、あるいは財産を目当てとした思わぬトラブルなどが発生したりし…

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