信託財産にかかる税金は誰が支払うのか?

前回は、信託契約の内容を変更する際のルールについて説明しました。今回は、信託財産にかかる税金は誰が支払うのかを見ていきます。

信託財産から発生する収入や費用は受益者に帰属

信託における税法上の基本的な考え方は、受益者が信託財産を所有しているとみなして取り扱います。信託財産として財産が信託会社等の名義に移転された場合、信託財産の所有権は受託者(信託会社等)が有することにはなるものの、税法上は原則として、受益者が信託財産を有するものとみなして考えることになっています。

 

そのため、信託財産から発生する収入や費用は、受益者に帰属するものとされ、その信託財産から生じる利益及びそれにかかる消費税については受益者が税務申告を行うことになります(ただし、消費税は納税義務がある場合のみ)。

 

これは具体的には、法人税法12条1項などで定められており、その内容は以下の通りです。

 

「信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託等又は法人課税信託の信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用については、この限りでない。」

受託者は信託財産を預かるのみで課税対象外

もっとも集団投資信託、退職年金等信託、特定公益信託、法人課税信託などの信託については一部に適用が除外されることがありますが、これらの大半は個人が自分の不動産を信託会社等に預けるケースとは縁がないため、ここでは説明を省略します。

 

また、所得税法13条1項、消費税法14条1項も同様に信託に関する課税について規定を置いています。内容は法人税法と重複するので省略しますが、いずれの税法とも受益者に対して課税されることとなっています。受託者は信託された財産を預かっているだけとみなされ、基本的には受託者に対しては課税されないというわけです。

 

【図表 信託と税金の基本的な関係】

虎ノ門法律経済事務所 所長弁護士

昭和41年3月、中央大学法学部法律学科卒業。昭和48年3月、早稲田大学大学院修士課程政治学研究科修了。昭和45年4月、弁護士登録(東京弁護士会)。昭和47年4月、千賀法律事務所を開設(現在の虎ノ門法律経済事務所)。平成11年に日弁連常務理事、平成12年に東京家庭裁判所調停委員、平成14年に東京弁護士会弁護士研修センター運営委員会委員長など、数多くの公職を歴任。現在は、虎ノ門法律経済事務所を母体とする株式会社虎ノ門サポート信託の代表取締役も務め、個人を中心に不動産信託に特化した財産管理のサポートをしている。

著者紹介

連載資産防衛のための「信託」の基礎知識

本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『資産運用と相続対策を両立する不動産信託入門』から抜粋したものです。その後の法改正は反映されておりませんので、ご留意ください。

 

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

資産運用と相続対策を両立する 不動産信託入門

編著 千賀 修一

幻冬舎メディアコンサルティング

高齢の不動産オーナーなどは、老後の不動産管理や賃貸経営、そして相続に関して、さまざまな不安要素が生じてくるものです。不動産管理に関する知識がなかったり、あるいは財産を目当てとした思わぬトラブルなどが発生したりし…

 

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