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早期退職を募集する企業が増加
キャリアづくりは、青年期・壮年期・実年期の3期にわたりますが、青年期の終わりから壮年期にかけての50歳前後の時期には、1つの危機があります。
いわゆる、「中年の危機」です。
それは、早期退職という名で迫ってきます。
いま、世界中の多くの業界で市場の急激な変化が進み、それにともなって企業は経営改革や構造改革、組織改革を強いられています。
典型が裾野の広い自動車業界でしょう。CASE(「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェアリングとサービス)」「Electric(電動化)」)やMaaS(「Mobility as a Service=サービスとしてのモビリティ」)といった、進化の道筋を示す新しい概念が注目され、「100年に1度」といわれるほどの大変革の時代に突入しています。
自動車産業の構造転換は雇用にも大きな影響を及ぼします。日本と同様、自動車産業が多くの雇用を抱えるドイツの研究機関の推計によれば、部品数の多いガソリン車から少ない電気自動車(EV)へ転換した場合、自動車関連雇用は半減するとの試算も出ています。
また、多くの企業で、業務へのAI(人工知能)の導入やRPA(ロボットによる業務自動化・効率化)が進みます。日本でもメガバンクがRPAなどにより、2万人近い人員削減など大胆なリストラ策を打ち出し、大規模な構造改革を迫られています。
そうしたなかで、「早期退職募集」の6文字をメディアで見かけるようになりました。
実際、早期退職を募集する上場企業は増えており、東京商工リサーチによると、2019年に早期・希望退職者を募った上場企業は延べ36社、対象人数は1万1351人と、過去5年間で最多を更新しました。
そのなかには、アステラス製薬、中外製薬、カシオ計算機、キリンホールディングスなど業績好調にもかかわらず、リストラに踏み切る企業も目立ちます。これまで希望退職募集を実施したことのない味の素も50歳以上の管理職を対象に希望退職募集を発表しています。
コロナ禍の2020年はさらに拍車がかかり、早期・希望退職者を募った上場企業は93社、対象人数は1万8635人(判明した80社)と、募集社数・人数ともにリーマン・ショック直後の2009年に次ぐ水準となりました。