(※写真はイメージです/PIXTA)

家を購入するために組むローンには通常、審査があります。収入や所得が同じ医師とサラリーマンであれば、医師のほうが融資の借り入れをしやすいということは、経験や噂から感じている方も多いと思います。勤務医である石田さんは妻の母親に頼まれて、マンションの融資を自分名義で受けてしまいました。そのために、醜い身内の争いごとに巻き込まれてしまいました。

妻の実家を賃貸併用マンションに立て替える

石田さんの妻の実家は都内の交通アクセスが良いAという場所にあります。このエリアは、近年、とくに注目を集めていて、某住宅サイトが行っている「住みたい街ランキング」にもたびたび登場するところです。

 

実家は、木造2階建ての一軒家。30年前に家を建てたときは、石田さんの妻、義父、義母、義姉の家族4人で暮らし、その後、子どもたちはそれぞれ独立。30年。その間に、義姉は、海外に嫁ぎましたが、数年で離婚。子どもはいませんが、そのまま海外暮らしをしています。

 

石田さんの実家もAにあり、妻とは近所の幼馴染。妻の両親は、石田さんを幼い頃から知っているということと、石田さんが社会的地位の高い医者であるということから、自分の子どものように、大事にしてくれています。

 

そのような中、実家の建て替えが持ち上がりました。義父母は建て替える家について、あれこれと調べていくうちに、賃貸併用マンションを建築したいと思うようになりました。

 

ハウスメーカーの営業マンと相談して、決めたのは、4階建てのマンションです。1、2階は賃貸部分、3階は石田さん夫婦、4階は石田さんの義父母の自宅にすることになりました。石田さんは、住まいにこだわりがない性分なので、ろくに話も聞かず、賛成してしまいました。しかし、よくよく話を聞いてみると、マンションの建設費は、石田さん名義で借り入れすることに決まっていました。

 

アパート建築の費用は、約8,000万円。義父母の金融資産だけでは足りず、金融機関で借り入れをすることに。しかし、義父は定年退職し、仕事に就いていなかったため、金融機関から全額借り入れができず、医師である石田さん名義で借り入れすれば、すぐに融資がつくから、とハウスメーカーの営業マンが義父に入れ知恵したようでした。

自分名義で借り入れを起こすことの意味

石田さんは、少し違和感を持ちましたが、了承し、金融機関の審査も通過。4階建の賃貸併用住宅は無事に竣工となりました。新しい住まいに、誰もが満足し、賃貸併用マンションの新築で、相続がもめることになると、誰もが予想することができませんでした。

 

問題なのは、相続の際にマンションの権利が石田さん自身に発生してしまう、ということです。通常、金融機関で借入をする人を不動産の登記名義人にし、借り入れ金額の割合で、不動産の持ち分を設定することが多いです。今回のケースもそのようにしたところ、たくさんの所有者でマンションを共有することになってしまいました。

 

マンション建築当初の建物持ち分は、

 

石田さん 1/4+1/4+1/8=5/8

義父 1/4

石田さんの妻 1/8

 

でしたが、数年経ったときに義父が亡くなってしまいました。その相続では、法定相続分で計算すると、

 

石田さん 1/4+1/4+1/8=5/8

石田さんの妻 3/16

義母 1/8

義姉 1/16

 

となり、さらに所有者が多くなっていまいました。

 

つまり、相続が発生したことで、相続上は法定相続人ではない夫が、マンションの所有権の大半を所有するという結果になってしまったのです。建物に加え土地も義母、義姉、石田さんの妻の共有になり、事態はさらに複雑になっています。これを知って、猛攻撃をしかけたのは、海外在住の義姉でした。義姉は「不動産を戦略的に奪い取った」と石田さんを非難し、それにより、義姉と石田さんの妻は、仲たがいしてしまいました。

 

 

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