通常は立地、価格、間取りでマンションを選ぶが・・・
最近、インターネットを中心に「ブラック企業」という言葉をよく目にします。長時間労働や残業代の未払い、パワハラ、セクハラなど、酷い労働条件や労働環境の企業を指す言葉ですが、私はここから「ブラックマンション」という言葉を想像しました。
ブラックマンションとは、簡単にいえば「購入すると〝ババ〞を引いてしまう」ようなマンションのことを指します。ブラック企業と違って、ブラックマンションという言葉は私の意図する意味あいではまだ世の中には存在しませんが、そうした実態のマンションは多く実在しています。
マンションを購入する場合、まず「3つのP」といわれる「Place(立地)」「Price(価格)」「Plan(間取り)」を基本に考えるのが一般的です。そこからさらに細かい条件を加味して物件を絞り込んでいくわけですが、もし「3つのP」を考えなければ、選びたいと思わせるマンションの幅は広がるでしょう。
たとえば、筆者は現在東京に住んでいて、仕事の拠点も東京にあるので、まず「Place(立地)」は東京で考えます。けれども、仕事でほかの地域に行くと、「ああ、ここのマンションなら購入したいなあ」と思う物件に出合うことがあります。
東京以外は私の「Place(立地)」ではないので選択肢には入りませんが、「3つのP」を度外視すれば、購入したいと思わせるマンションはいくつもあるのです。
反対に、「ここのマンションは絶対に購入したくないなあ」と思う物件も存在します。「3つのP」やその他の条件に合致するとしても、絶対に購入は避けたいと思う物件です。
その判断はどこから来るかといえば、「3つのP」やその他の希望条件とは少し違う観点にあります。それは主に「管理組合の質」なのです。
管理組合の質がマンション全体の質を左右してしまう
マンションの大規模修繕工事は談合とリベートの嵐です。管理会社も含め、設計事務所等にいいようにコントロールされて、大切な修繕積立金を根こそぎ持っていかれてしまうのです。この状況を「ブラック大規模修繕工事」と呼んでもいいでしょう。
管理会社のいいなりになっているような意識の低い管理組合だと、簡単にブラック大規模修繕工事の状況に巻き込まれてしまいます。つまり、「ババを引かされて」しまうわけです。
私たちはそんなブラック大規模修繕工事をたくさん見てきており、大規模修繕工事の陰の話をいろいろなところでしているのですが、残念ながら話が届かず、大きな出費を余儀なくされてしまうマンションも多くあります。
多くのマンションでブラック大規模修繕工事が行われている現実のなか、他人事ではなく自分自身に振りかかっている問題としてぜひそれを回避できるように賢く立ち振るまってください。
このように、設計事務所等の毒牙にかかり、修繕積立金を失ってしまうような意識レベルの管理組合のマンションはブラックマンションと位置づけられます。
ほかにも、金食い虫の機械式駐車場問題を放置していたり、長期修繕計画表の破綻(長期修繕計画表では将来大幅に資金が不足する内容となっている、いわゆる破綻すること)が見えているのに、何の対策も講じず管理会社のいうがままに修繕積立金の値上げや一時金の徴収に応じてしまうのも同じです。
また、隣人がマンション内の問題児だったとか、上階で大型犬を飼っていて音がうるさいとか、そういう居住者間の問題放置もブラックマンション化につながります。