※画像はイメージです/PIXTA

親御さんの退院後の住まいは、入院中に考えておくとよいでしょう。介護事業を運営する株式会社アテンド・代表取締役の河北美紀氏が、介護を想定した「退院後」について解説します。※本記事は、書籍『身近な人の介護で「損したくない!」と思ったら読む本』(実務教育出版)より抜粋・再編集したものです。

老人ホーム以外にも「多様な施設」納得して手続きを

⑤介護老人保健施設(医療法人が運営する施設)

 

入院期間後、在宅復帰を目指すためのリハビリ体制が充実した施設です。もう入院の必要はないものの、このまま自宅に戻ることが難しい高齢者に対し、専門職が医療ケアや手厚いリハビリを行ってくれます。

 

おもに食事やトイレ、入浴などの生活動作の回復と心身機能の維持向上を目指します。ただし入所期間は3~6ヵ月で、入所条件は「要介護1以上」ですので、もし検討している場合は、入院中に介護申請(要介護認定申請)をしておく必要があります。

 

⑥介護医療院

 

制度上、新しく設置されたばかりの施設ですが、これからニーズが高まり増えていく介護施設です。要介護者が退院後、おもに長期療養が必要な場合の生活施設です。療養上の管理、看護、医学的管理のもとでの介護、機能訓練などの医療のほか、日常生活の世話をすることを行う施設です。介護医療院には、基本方針として地域交流も含まれているため、病院とは異なり、地域交流やボランティアの受け入れなどを通じ、高齢者が地域とのつながりを持てる環境づくりも期待されています。

 

⑦その他の施設(有料老人ホーム、グループホームなど)

 

施設の中でも、有料老人ホームは特別養護老人ホームと同様に看取りが可能な施設が多いことから「終の棲家」とも言われます。入所条件は施設によってさまざまですが、基本的に個室が用意され、24時間介護スタッフが常駐します。日中は看護師も常駐し、健康管理や褥瘡(じょくそう)の処置や生活に必要な身の回りのケアもしてくれ、介護度が高い方でも安心して過ごすことができます。

 

費用は特別養護老人ホームに比べて割高の場合もありますが、その分サービスが優れているといえます。立地条件が良い、食事のメニューや内容が充実している、建物が豪華などです。特に近年では差別化を図っている施設が多く、入所金は0円から数億円と幅広いです。それぞれに特色があるので、入所を決めるときは必ず本人と見学に行き、納得してから手続きすることをおすすめします。

「子」「親」どの立場からも妥協できる選択を

このように、退院後の選択肢はさまざまありますが、大切なのは「子」と「親」あるいは「夫婦」、どの立場からも良い意味で妥協できる選択を家族みんなで考えることです。その話し合いが早ければ早いほど、退院後の選択肢は増えていきます。

 

筆者だけでなく多くの方が体験していますが、介護は本当に突然やってきます。よくある例ですが、親が突然脳梗塞で倒れ救急搬送され、一命を取りとめホッとしたのもつかの間、体に麻痺が残り、不自由な生活を余儀なくされることに。ショックを受ける間もなく、入院期間が3ヵ月を越えると、今度は病院側の事情で退院を迫られます。

 

そこで初めて家族会議を開かれ、「これからの介護をどうするか」が話し合われます。そして本人やご家族の本音を十分確認できず、慌てて情報収集してしまい、ご家族にとってベストではない選択をしてしまい「こんなはずじゃなかった……」という話がよくあるのです。そうならないように、親が望む最期の生き方を早く知ること、一方で「自分たちにとって無理のない介護」がどのような形なのか、いまのうちから考えておきましょう。

 

 

河北 美紀

株式会社アテンド 代表取締役

 

 

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河北 美紀

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