有料老人ホームの選びを始める前の注意点
もし、肉親やご自身が要介護状態になったらどうなさいますか? 認知症が進行していたり、介護者の事情で家で介護ができない状態になったりした場合、選択肢のなかで最も身近にあるのが「有料老人ホーム」でしょう。
実際のところ、有料老人ホームがどのようなところかご存じの方は少ないです。テレビなどでよく出てくる介護施設を思い浮かべる方がほとんどかもしれません。
しかし、その映像が特別養護老人ホームなのか老人保健施設なのか、有料老人ホームなのか、皆さんは区別がつかないのではと思います。
まずは有料老人ホームはどのような場所なのか、どのような雰囲気なのかをあらためて知る必要があります。ご自分の目で見て、どのような場所かをきちんと認識してから、有料老人ホーム選びを始めることをおすすめします。
よくインターネットサイトを見ていると、「有料老人ホームのチェックポイント10選」「老人ホーム選びのポイント」などが出てきます。そこに書いてあるポイントをご覧になって、皆さんはそのチェックポイントの良し悪しがお分かりになるでしょうか? 答えは「否」でしょう。
■どこの有料老人ホームに行くのがベストだろうか
有料老人ホームにはさまざまな料金体系があります。ほとんど民間が運営していますので、入居一時金1000万円超えの高価なホームから、入居一時金0円月額利用料15万円以下のホームまで多種多様。
月額利用料が15万円しか払えない方が月額利用料40万円超えのホームを見学してどうすれば良いのでしょうか?
ご理解いただきたいのは「介護の沙汰も金次第」ということ。料金が高いホームのほうが人員配置も多く、看護職やリハビリ職などのさまざまな職種の職員がおり、設備も豪華です。
ただし、それに比例してホームの「居心地が良くなる」「職員の対応が良くなる」「サービスの内容が良くなる」とは限りません。
まずは入居される対象者の収入(年金額、預金額、そのほかの収入)を考えてみることです。
入居される方の年齢が85歳、要介護度が2、年金が15万円/月、預金が500万円なら、寿命を全うされるのが95歳くらいまでと仮定し、預金で補填するなら500万円÷120カ月=4万円/月程度。その方の資産だけでいくなら19万円/月のホームが限界です。あとは、ご家族でどれだけ補填できるかを考える必要があります。
注意が必要なのは、パンフレットに「月額利用料」として掲載されているものについては家賃、管理費、食費(30日分)のみだということです。
実はそのほかに、介護保険の自己負担分(1~3割まで:入居対象者の介護保険証に記載されています)、医療費(訪問診療費)、場合によっては居室の電気代、各種消耗品費、将来的にはオムツ代があります。これらを加味するとプラス5.5万円は考慮しないといけません。捻出できる予算を考えたうえで、見学すべきホームを決めましょう
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