(写真はイメージです/PIXTA)

岸田首相は所信表明で、介護福祉士の賃上げすると公表しました。そんな介護福祉士が働く介護業界では、普通の会社ではあまり考えられない慣習があります。本記事では、『介護の三ツ星コンシェルジュ――暮らしを豊かにするコラムサイト』を運営する株式会社ベイシスの取締役シニア事業部長である荒牧誠也氏が、介護業界の不思議な慣習を紹介します。

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施設の雰囲気はホーム長で決まる

私の知っているホームで、ホーム長がノーリフトケアを推進しているホームがあります。

 

ノーリフトケアは人力だけで要介護者を持ち上げない、抱え上げない介護のことをいい、介護者の腰痛防止はもちろん、移乗に伴う要介護者の皮膚の損傷や不快感の軽減にもつながるとても良いケアです。

 

ところが、そんなホーム長の想いに反し、そのホームでは離職率が高いのです。

 

職員に聞いてみると、「理想はよく分かるのだけれど、実践が難しい」「時間がないのでついつい抱え上げてしまう」「自分がこれまでやってきた介護をホーム長に否定される」というのが退職理由です。

 

それを会社幹部に伝え、ホーム長に言ってもらうと、「自分の信念は貫きたい。このホームの介護方針は私が決めます」と取り合ってくれないようです。

 

介護の世界ではよくありがちなのですが、そのホームの介護方針はホーム長が決めるもの。ホーム長は会社幹部よりも偉い!というのが介護の世界です。

「ホーム長に会ってから」入居を決めよう

介護の世界では力をもっているのがホーム長ですので、当然、施設を統治しているのもホーム長。

 

ホーム長はホーム全体を仕切り、ホーム長の考え方でホームが運営されるので、老人ホーム選びでは、「必ずホーム長に会い、介護方針、施設運営の考え方、人柄、入居者への想い」などを確認してください。

 

どんなに施設が立派でも、どんなに一流企業が経営していようとも、どんなに職員配置が多くとも、実際にものを言うのはホーム長の考え方、実行力です。

 

ホーム長がしっかりとした考え方をもって運営に携わっていると、自然とホーム全体の職員にも伝わるものです。

 

ホーム長が優しいホームは職員の雰囲気もどことなく優しいですし、ホーム長がテキパキ動くホームは職員もテキパキ動いています。ホーム長が看護師出身のホームだと医療対応に力を入れていますし、理学療法士出身のホームだとリハビリに力を入れているというように、ホーム長のライセンスで提供するサービスも変わってきます。

 

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荒牧 誠也

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