毎月10万円の節約も!「介護手当」の実態
支援の内容や金額は、要介護者がどの市区町村に住んでいるかによって異なります。この機会にお住まいの市区町村のウェブサイトを調べてみましょう。
中でも特にチェックしておきたいのが、介護手当(総称)です。市区町村によっては、介護をする家族への直接的な経済支援としてお金の支援をしているところがあります(すべてではありません)。
「介護手当(要件あり)」は金額が少ない市区町村でも毎月3,000円程度、多い市区町村では毎月4万円もの金額を支給しています。
特別障害者手当は、認定されれば毎月2万7,350円(令和3年8月現在)の支給が受けられます。「高齢者が障害者手当をもらえるの?」と不思議に思われる方もいらっしゃると思いますが、障害者基本法が定義する障害者とは、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある者」とされています。実は、高齢者と障害者を分けていないのです。
また、介護保険負担限度額認定が下りると、介護保険施設の居住費・食費が軽減されます。毎月5~10万円も施設利用料が安くなるのですから、利用しない手はありません。
割引、金利の上乗せなど…民間のサービスも充実
そのほか、民間のサービスもあります。たとえば航空運賃が割引になったり(各社で対象者と割引率が異なる)、信用金庫で要介護者とその家族に金利が上乗せされるというものもあります。
また、割引を行うレジャー施設もあります。東京都の上野動物園や六義園、旧岩崎邸庭園、江戸東京博物館では、60歳以上(年齢が証明できるものを窓口で提示)は敬老の日やその前後の期間入場料無料、介助が必要な場合は同伴者も無料になります。東京都の葛西臨海水族園や和歌山県のアドベンチャーワールドでは、要介護者(介護保険被保険者証を提示)や障害者などと同伴者は入場料が割引になります。
ひとつひとつは小さな金額でも、面倒がらず該当するものはすべて利用し、確実に介護費用を削減しましょう。
「介護生活」無理を続けると虐待が始まることも…
手当の申請は自己責任です。親に代わって、市区町村の各種サービスを見逃さないようにチェックしましょう。
介護生活は、時間に追われることもあれば、頑張らなくてはならない瞬間も必ずあります。そんな家族介護者にとって必要なのは、金銭的な心配がないこと、自分の時間がしっかり確保されることだと思います。そこが崩れると精神的に苦しくなり、介護にも当然影響します。金銭的・体力的な無理を続けた結果、ご家族による虐待が始まってしまうケースも少なくありません。お互いに良い関係が続くよう、できるかぎり経済的な基盤を強化しておきましょう。
河北 美紀
株式会社アテンド 代表取締役
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