2020年のコロナショックで1万6000円付近まで下落した日経平均株価。株価はその後V字回復をしましたが、2021年8月上旬の時点では2万8000円付近で推移し、高値警戒感も強まっています。今回は、下落リスクを抑えながら日本株の長期上昇トレンドに追随するポートフォリオ戦略について、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)が解説します。
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日本株の見通し…調整挟むも長期上昇トレンドは継続か
2021年に入り、日本株式市場(日経平均株価)は上昇基調を強め、2月16日には3万714.52円のザラ場高値をつけた。その後は上値の重い展開となり、8月上旬時点では2万8000円程度で推移している。
そのようななかで、2021年後半にかけての日本株をどのように見ていけばいいのだろうか?
あくまでも筆者の個人的な見解ではあるが、今後の日本株式市場の見通しと、それを基に、どのような投資・ポートフォリオ戦略を立てられるのかについて考えてみたいと思う。
まず日本株のファンダメンタルズ面を考慮すれば、短中期の調整を挟みながらも長期の上昇トレンドは継続すると考えている。その背景として、次の3点が考えられる。
1点目は、主要各国による大規模な財政・金融政策がとられるなか、新型コロナワクチンの普及に伴い、世界経済の正常化に向けた動きが進展し、企業業績の伸長をもたらすことで日本株の上昇基調を支えるとみる。
2点目として、今後、利益率や資本効率の向上など株主重視の姿勢が日本企業に浸透し、ROE(自己資本利益率)の改善につながることで長期的な株価上昇も期待されると考える。特にESG(環境・社会・企業統治)の視点に注目しており、グリーン成長戦略などを基にした環境関連投資の広がりに加え、女性の活躍などのダイバーシティ(多様性)や専門人材を活かす人材戦略等が進展してくることで、日本企業の中長期的な企業価値の向上が期待できる局面に入るとみている。
3点目として、中国や他のアジア諸国の高い経済成長を日本企業が積極的に取り込むことで、PERやPBRなどのバリュエーション水準の中長期的な切り上がりも見込まれる。アジアにおいて、人口大国の中国を筆頭に、インドネシア、フィリピン、インドなどは引き続き高い経済成長が期待され、日本企業の業績価値の向上につながってくるとみられる。
以上3点を考慮すれば、日本株の長期のバイ&ホールド戦略(買い持ち)は引き続き有効と考えている。
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東海東京調査センター
投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)
山一證券、メリルリンチ日本証券、損保ジャパンアセット(現SOMPOアセット)などでの富裕層・法人営業に加え、年金基金、投資信託のアナリストやファンドマネージャーとして新興市場やオルタナティブを含む幅広い市場・商品の担当責任者を経て、2016年に東海東京調査センター入社。
現職では短中期の戦術的資産配分(タクティカル・アセットアロケーション)やオルタナティブ投資(ヘッジファンド・テクニカルやコモディティ戦略含む)の視点を踏まえたグローバルな日本株の市場分析等を行う。他の代替資産・戦略としてJリート投資戦略、ESG投資戦略、行動ファイナンス投資戦略などもカバーしている。
英国国立ウェールズ大学経営大学院MBA。アライアント国際大学・カリフォルニア臨床心理大学院米国臨床心理学修士号(MA)。慶應義塾大学商学部卒。国際公認投資アナリスト(CIIA)、日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)、国際テクニカルアナリスト連盟検定テクニカルアナリスト(MFTA)、CFP、英国王立勅許鑑定士(MRICS)、不動産証券化協会認定マスター、中小企業診断士。
日経CNBCなどのTV・メディアに出演。日経新聞、QUICK、ロイター、ブルームバーグ、時事通信、東洋経済オンライン、幻冬舎ゴールドオンラインなどでも執筆、コメントを行う。ヘッジファンド・テクニカルのキャリアとして世界のテクニカルアナリスト協会を束ねる国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)の理事などを歴任。早稲田大学ビジネスファイナンスセンターや同志社大学、青山学院大学等で講師を務める。
著書には投信営業に行動ファイナンスアプローチなどを活用した『会話で学ぶ!プロフェッショナルを目指す人の「投信営業」の教科書』(2021年)がある。
著者プロフィール詳細
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