豪ドルの今後を考えるための経済指標 (※写真はイメージです/PIXTA)

先進国資源国通貨オーストラリア(豪)、カナダ(加)、ニュージーランド(NZ)の各ドル(対ドル)レートを見ると豪ドルの回復が遅れています。豪中銀が前回の理事会で利上げ時期を24年と示唆するなど金融緩和姿勢であったことが背景と見られます。ただ、豪経済指標には金融引締めの必要性を支持するものもあり、豪ドルが遅れを取り戻す展開は1つの可能性かもしれません。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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豪中銀:市場予想通り、政策金利を据置く一方、債券購入は縮小方針を維持

オーストラリア(豪)準備銀行(中央銀行)は2021年8月3日に理事会を開催し、市場予想通り政策金利、および3年債利回り目標を0.10%に据え置きました。

 

また、21年9月から11月までの間の国債・州債買い入れ額を週あたり40億豪ドルにすることを公表しました。豪中銀は前回7月の理事会で、今年の9月以降は現行の週50億豪ドルの購入額縮小の方針を維持しました。

どこに注目すべきか:資源国、都市封鎖、失業率、就業者数、賃金

主な先進国資源国通貨オーストラリア(豪)、カナダ(加)、ニュージーランド(NZ)の各ドル(対ドル)レートを見ると豪ドルの回復が遅れています(図表1参照)。

 

日次、期間:2020年8月3日~2021年8月3日 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]主な先進国資源国通貨(対米ドル)レートの推移 日次、期間:2020年8月3日~2021年8月3日
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

豪中銀が前回の理事会で利上げ時期を24年と示唆するなど金融緩和姿勢であったことが背景と見られます。ただ、豪経済指標には金融引締めの必要性を支持するものもあり、豪ドルが遅れを取り戻す展開は1つの可能性かもしれません。

 

豪ドルが遅れを取り戻す可能性を支持する要因として、ハト派(金融緩和を選好)と見られていた豪中銀が今回の理事会ではややタカ派(金融引締めを選好)に転じた面が見られたことです。豪中銀がタカ派と見られた背景は経済見通しを前回の理事会から引き上げたことです。例えば基調的なインフレ率は22年末に1.75%に達すると見ており、前回の見通しである1.50%から上方修正しています。なお、価格変動の多い項目を除外したトリム平均は足元で、前年同期比で1.6%となっています(図表2参照)。

 

四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、前年同期比 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]豪消費者物価指数(CPI)とトリム平均の推移 四半期、期間:2016年4-6月期~2021年4-6月期、前年同期比
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

また失業率の見通しも22年末に4.25%に低下すると予想し、前回の4.5%の予想から下方修正しています(図表3参照)。

 

月次、期間:2018年6月~2021年6月 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表3]豪失業率と就業者数の推移 月次、期間:2018年6月~2021年6月
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

豪中銀がタカ派と見られた背景として債券購入政策の縮小方針を維持したことが挙げられます。豪クイーンズランド州やシドニーを州都とするニュー・サウス・ウェールズ州などでは都市封鎖などが行われ景気悪化が懸念されています。そのため今回の理事会では債券購入縮小方針の緩和を見込まれていましたが、豪中銀は来年以降の経済成長率見通しを比較的堅調と見ています。

 

豪中銀の経済見通しと、債券購入縮小方針維持以外に経済指標の中にも、タカ派かの要因が見え隠れします。消費者物価指数(CPI)の急上昇は新型コロナに関連する一過性の上昇と説明しています。これだけであれば米国などと同様に懸念は限定的と思われます。

 

しかし豪雇用市場の改善は進行しています。例えば働いている人の数を見ると、新型コロナ前のピークを既に超え、過去のトレンドに近づいています(図表3参照)。豪中銀の23年末の失業率は4.0%が予想されています。過去最低水準で、恐らく完全雇用のレベルと見られます。

 

もっとも、賃金の回復は緩やかです。四半期毎に公表される賃金コスト指数の次回分は8月中旬に発表予定で、注目したいデータです。賃金の回復や、新型コロナの影響など確認すべき項目は多く残されていますが、豪ドルがキャッチアップするシナリオも選択肢の1つと考えられそうです。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『豪ドルの今後を考えるための経済指標』を参照)。

 

(2021年8月4日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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