中国規制強化の整理 (※写真はイメージです/PIXTA)

中国の7月のPMIに景気回復ペースの減速が見られます。背景として中国当局による主に住宅投資を対象とした引き締め策、新型コロナウイルスの感染再拡大、及び大洪水などが考えられます。足元では中国当局による規制強化が広がりを見せたことが懸念されます。中国経済は年後半、景気の減速感が想定される中、当局の対応に注目が集まりそうです。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

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中国製造業、非製造業PMI:7月のPMIは50を上回るも景気回復のペースダウンを示唆

中国国家統計局が2021年7月31日に発表した7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.4と、市場予想の50.8、前月の50.9を下回りました(図表1参照)。建設業とサービス業を対象とする非製造業PMIは53.3で、市場予想通りながら、前月の53.5を下回りました。

 

月次、期間:2018年8月~2021年7月、政府系PMIは製造業と非製造業 出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国政府系PMIと財新製造業PMIの推移 月次、期間:2018年8月~2021年7月、政府系PMIは製造業と非製造業
出所:ブルームバーグのデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

財新伝媒が8月2日に発表した7月の中国製造業PMIは50.3と、市場予想の51.0、前月の51.3を下回りました。

どこに注目すべきか:中国PMI、規制強化、独占禁止法、ネット規制

中国の7月のPMIに景気回復ペースの減速が見られます。背景として中国当局による主に住宅投資を対象とした引き締め策、新型コロナウイルスの感染再拡大、及び大洪水などが考えられます。足元では中国当局による規制強化が広がりを見せたことが懸念されます(図表2参照)。中国経済は年後半、景気の減速感が想定される中、当局の対応に注目が集まりそうです。

 

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国の最近の主な規制強化 出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

中国の景気減速懸念を背景に株式市場などの変動が高まっています。この背景を2つに分類すると、新型コロナ対応のロックダウンや大洪水など「外的要因」と、規制強化など「内的要因」に分けられそうです。内的要因は人為的要因とも表現されるかもしれませんが、ここから内的要因をとりあげます。

 

内的要因として最近の規制強化が挙げられます。規制強化の例を図表2に示しました。規制の特色を見ると、独占禁止法などが多く適用されていることから国家的な規模に成長した産業への規制強化と見られます。別の特色は格差解消の規制も多いことです。教育や高騰した住宅投機への介入もこの分類に含まれそうです。もうひとつの特色は7月に規制強化が増えたように見えることです。

 

7月に増えた背景に証拠や確証は全くなく、筆者の思い込みとお考えいただければと思いますが、今年7月の共産党結党100周年で共産党体制の強化が示されたことと関係があるのかもしれません。中国ではここ数年、国家規模に成長した(独占的な)産業・企業に対し、独占禁止法や不当競争を理由に、規模を抑える動きがありました。100周年のタイミングに規制が一気に増えたのかもしれません。

 

次に、中国の政策として格差是正への取り組みも見られます。中国当局の政策の焦点である「三座大山(3つの大きな山)」と呼ばれ、負担が過度となっている分野である教育、医療、不動産に規制強化が図られています。

 

もっとも、特定分野で国家規模に成長した産業が規制されるのは最近では先進国でも珍しいことではありません。例えば、英国ではイングランド銀行が金融決済の分野で少数のクラウドサービス業者が独占している状況について、金融安定化の観点から警告し、規制の必要性を訴えています。巨大なネット企業などに対する規制は、反対論はあるでしょうが、その必要性への理解は高まっているようです。今回の中国当局の規制強化には同様の政策も含まれていると思われます。しかしながらあまりに唐突で、説明不足であったことが市場を必要以上に動揺させた面もありそうです。今後も規制強化の背景に対する注意が必要です。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国規制強化の整理』を参照)。

 

(2021年8月3日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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