病院ではできない…在宅療養「最大のメリット」
人生の最期の時、その苦痛の大部分は「医療行為によるもの」との考え方があります。
さまざまな管が体内に留置されていると、身体的にも精神的にもかなりの苦痛を伴います。また、点滴を継続する場合、次第に皮膚や血管が弱くなるため、何度も点滴の差し替えが必要となり、腕や足があざだらけになります。
体が弱り、栄養状態や貧血が悪化し、心臓や腎臓の機能が衰えると、点滴によって体内に入った水分をうまく利用できなくなり、点滴した水分がそのまま浮腫(ふしゅ・むくみ)や胸水・腹水、痰の増加へとつながり、苦痛を増強させているだけの可能性もあります。
一般的に、体が弱った状態では、脱水気味の乾いた状態のほうが苦痛は少ないとされています。私は病院と在宅医療の現場でたくさんの方の最期の時間を見守ってきましたが、まさにそのとおりだと実感しています。
病院で点滴を続けながら最期を迎える場合、死の数時間から数日前に、死前喘鳴(しぜんぜんめい)と呼ばれる、喉元で痰がごろごろと動き苦しそうな呼吸が続くのが普通でしたが、在宅医療の現場では、苦痛の改善効果が得られない場合、最期まで点滴を続けることは少ないため、体が乾いた状態で最期を迎えることが多く、痰はあまり出ず、死前喘鳴が生じることもさほどありません。むくみもなく、すっきりとした凜々しい姿で最期を迎えることがほとんどです。
どのような形が、より人間らしい自然な最期の過ごし方なのか、それは誰にも分かりません。ただ、在宅療養を選択した場合、その選択肢が大幅に拡がることは間違いありません。
患者さんが家族と相談しながら、生き方、死に方を自由に選択できる、それが在宅療養の最大のメリットです。
宮本 謙一
在宅療養支援クリニック かえでの風 たま・かわさき 院長
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】