(※画像はイメージです/PIXTA)

2020年の春以降、自らの感染リスクと隣り合いながら、新型コロナウイルスの感染者の治療にあたる医師たちが機会あるごとにメディアに取り上げられてきた。それを見て改めて医師という仕事の大変さを知り、使命を全うする姿に心を動かされた人も少なくないのではないか。歴史に残るパンデミックの中で奮闘する医師たちの姿は医学部医学科(以下、医学部)を目指す受験生たちにどのように映り、どんな影響を与えたのか。駿台予備学校の医学部受験専門校である市谷校舎の教務マネージャーの宮辺正大氏と受験データとともに、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)元年となった2021年度の医学部入試を振り返ってみたい。第1回は、国公立大全体の2021年度の入試動向と、近年の医学部人気について解説する。

医学部人気に火をつけた医学部の学費値下げ

加えて、医学部人気に弾みをつけたのが、順天堂大学が先鞭をつけた医学部の学費引き下げだ。2008年に900万円下げて、学費総額を2080万円にした。この動きに昭和大学、東邦大学、関西医科大学、帝京大学、東海大学、藤田医科大学、愛知医科大学、日本医科大学などが続いた。

 

「サラリーマン世帯で出せる学費の限度額は2000万円前半といわれていた」(宮辺氏)

 

それまで該当するのは慶應義塾大学と東京慈恵会医科大学だけだったが、一挙に私立大の選択肢が広がることになる。順天堂大学は学費の値下げにより、難易度がアップ。大正時代創立の慶應義塾大学・東京慈恵会医科大学・日本医科大学はその伝統から「御三家」と呼ばれているが、順天堂大学は同様のレベルまで上がり、現在私立大のトップクラスに位置するようになった。

 

医学部人気に弾みをつけたのが、順天堂大学が先鞭をつけた医学部の学費引き下げだという。(※画像はイメージです/PIXTA)
医学部人気に弾みをつけたのが、順天堂大学が先鞭をつけた医学部の学費引き下げだという。(※画像はイメージです/PIXTA)

 

人気が上がるに伴い医学部入試の難易度も上昇し、現在私立大の医学部の多くが、早稲田大学先進理工学部・基幹理工学部や慶應義塾大学環境情報学部・理工学部といった私立大の看板学部を凌ぐ、もしくは拮抗するまでになっている。国公立大も同様で、東京大学理科一類や理科二類に匹敵する学力が必要とされる医学部は少なくない。今や医学部合格は、私大トップ校や東大をねらう実力がないと手にするのが難しいのだ。

 

そうなると力を発揮するのが6年間一貫カリキュラムを組む私立の中高一貫校だ。「医学部の合格に必要なのは今や6年。それでも現役での合格は難しい」と宮辺氏は話す。

 

こういった医学部人気を受けて、生徒たちの夢を後押しするべく「医学部進学コース」を設置する一貫校もでてきている。

 

2021年度、底を打った国公立大医学部の志願者数だが、これまでの志願者数の推移や新型コロナのパンデミックの中で奮闘する医師たちの姿は受験生たちにどのような影響を与えたのかについて、次回探っていく。

 

大熊 文子
フリーライター

 

 

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