21年度は医学部志望者の減少に歯止め
十分なソーシャルディスタンスを確保するために試験会場を増やすなどして、予定通り実施された2021年度大学入試。さまざまな懸念があったものの、クラスターが発生することもなく無事に終了し、新入生はすでに大学生活を送り始めているはずだ。
コロナ禍で行われた2021年度医学部の受験動向を、国公立大から見ていきたい。
表1は、「系統別志願状況2カ年比較」で、前年度の志願者数を100として2020年度、2021年度の国公立大一般選抜(一般入試)確定志願者数を比較したものだ。
ピンクで示されているのが、2020年度。全系統で前年度より志願者が減少している。ブルーの棒グラフが表す2021年度は、志願者数が増加した系統と減少した系統がはっきりしており、志願者の総数では対前年比(全体指数)で97になっている。2020年春より大学の講義は軒並みオンラインとなり、「大学にも行けず、施設も使えず大学進学の価値はあるのか」という声も聞かれていたが、2021年度志願者数に大幅な減少はみられない。
減少の原因は、コロナ禍とは別にある。というのも、すでに我が国の18歳人口は減少局面に入り、受験人口のピークとなった現在の47歳~48歳が受験生だった1992年度と比べて、今や54%にまで減っているのだ(表2)。
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自然減に加え、2021年度はさらに1990年から30年続いた大学入試センター試験(以下、センター試験)に替わって共通テストが導入されたことで、既卒受験生が減少した。20年度に最後のセンター試験を受けた受験生の多くは、翌年新導入される共通テストへの不安から浪人を回避し、現役で大学に入学していったのだ。