(※画像はイメージです/PIXTA)

2020年の春以降、自らの感染リスクと隣り合いながら、新型コロナウイルスの感染者の治療にあたる医師たちが機会あるごとにメディアに取り上げられてきた。それを見て改めて医師という仕事の大変さを知り、使命を全うする姿に心を動かされた人も少なくないのではないか。歴史に残るパンデミックの中で奮闘する医師たちの姿は医学部医学科(以下、医学部)を目指す受験生たちにどのように映り、どんな影響を与えたのか。駿台予備学校の医学部受験専門校である市谷校舎の教務マネージャーの宮辺正大氏と受験データとともに、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)元年となった2021年度の医学部入試を振り返ってみたい。第1回は、国公立大全体の2021年度の入試動向と、近年の医学部人気について解説する。

21年度は医学部志望者の減少に歯止め

十分なソーシャルディスタンスを確保するために試験会場を増やすなどして、予定通り実施された2021年度大学入試。さまざまな懸念があったものの、クラスターが発生することもなく無事に終了し、新入生はすでに大学生活を送り始めているはずだ。

 

コロナ禍で行われた2021年度医学部の受験動向を、国公立大から見ていきたい。

 

表1は、「系統別志願状況2カ年比較」で、前年度の志願者数を100として2020年度、2021年度の国公立大一般選抜(一般入試)確定志願者数を比較したものだ。

 

ピンクで示されているのが、2020年度。全系統で前年度より志願者が減少している。ブルーの棒グラフが表す2021年度は、志願者数が増加した系統と減少した系統がはっきりしており、志願者の総数では対前年比(全体指数)で97になっている。2020年春より大学の講義は軒並みオンラインとなり、「大学にも行けず、施設も使えず大学進学の価値はあるのか」という声も聞かれていたが、2021年度志願者数に大幅な減少はみられない。

 

※文部科学省発表の最終確定値(独自日程を追加、専門職大校を除く)により、駿台予備学校が独自作成。
【表1】「系統別志願状況2ケ年比較」 ※駿台予備学校調べ。

 

減少の原因は、コロナ禍とは別にある。というのも、すでに我が国の18歳人口は減少局面に入り、受験人口のピークとなった現在の47歳~48歳が受験生だった1992年度と比べて、今や54%にまで減っているのだ(表2)。

 

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自然減に加え、2021年度はさらに1990年から30年続いた大学入試センター試験(以下、センター試験)に替わって共通テストが導入されたことで、既卒受験生が減少した。20年度に最後のセンター試験を受けた受験生の多くは、翌年新導入される共通テストへの不安から浪人を回避し、現役で大学に入学していったのだ。

 

※文部科学省発表の数字をもとに駿台予備学校が独自作成。2021年度以降は駿台予備学校推定値。
【表2】「受験人口と大学入学定員推移」 ※駿台予備学校調べ。

 

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