立地選びで失敗するパターンにも2種類ある
立地選びは、通りがかり、ネット、競合の3つの要素が大きく影響することになりますが、実際に立地選びを間違えるパターンは大きく分けて2つあります。
●競合が多すぎる地域
当然ですが、競合が多すぎる地域では1クリニック当たりの患者数は少ない傾向にあります。例えば、1日150人の患者さんのニーズがある地域であれば、競争が激しくない地域で3つのクリニックがあったとすると1クリニック当たり平均50人、競争が激しい地域で5つのクリニックがあったとすると1クリニック当たり平均30人となります。
近隣のクリニックの患者数を調べれば、開業する前からある程度わかることですが、あまり気にしないで開業する医師も少なくありません。特に、かかりつけが決まっている慢性疾患中心の科目は開業当初苦戦する傾向にあります。
●認知度が低すぎる場所
駅から距離がある住宅街のビルの空中階など、目立たない場所にあるクリニックは、認知度が低いといえます。同じビルでも1階と2階、2階と3階以上でも認知されやすさは大きく変わります。
物件探しの際、空いているテナント、坪当たりの家賃が安いテナントにはそれなりの理由があります。医療関係以外のサービス業をおこなっている業種の立地の専門家が「よくない立地」と判断した場合が多いです。
だれしもが開業するのは初めてですから、致し方ないのかもしれませんが、坪当たりの家賃が高い場所を敬遠し、通りがかりで来院してもらうことをあまり考えずに、認知度の低い場所で妥協してしまうケースもあります。
都市部の激戦区なら、坪当たりの家賃が高くあまり広くない場所で、最初は看護師を雇用せず、最小限の医療事務スタッフで開業するのもひとつの方法かもしれません。
もし、すでに認知度の低い場所で開業しているのであれば、家賃が高くても認知度の高い場所に移転することも選択肢となってきます。
ネットの集患も限界あり…最悪は移転しかないケースも
一度開業場所が決まると、通りがかりで知って来院される患者さんを増やすことはできないため、「ネットでどうにかならないのか?」と藁にもすがる思いの医師に相談を受けることがありますが、しかし、ネットによる集患にも限界があります。
筆者は、住宅街の一般内科であれば「開業は立地が8割」と考えています。医師としての診療力を変えることはなかなか難しいですし、住宅街の一般内科においてネットで探している人は、そこまで多くはありません。
通りがかりで認知されにくく競合が多すぎる地域では、別の競合が少ない地域に移転するくらいしかやりようがないという場合もあります。
蓮池 林太郎
新宿駅前クリニック 院長
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