超高齢化社会の日本では、介護は身近な問題です。ここでは、骨折した高齢母の入退院に悩む子のケースのほか、夫を1人で介護する妻の事例をあげながら、最適な介護サービス・施設の活用術を解説します。※本記事は長年に渡り介護事業の運営・マネジメントに携わってきた福岡浩氏の著書『プロの調査員が教える! 介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本』(自由国民社)より一部を抜粋・再編集したものです。
麻痺のある夫をケアする高齢妻、老々介護に限界が…
脳梗塞の後遺症で片麻痺のある夫を妻が1人で介護していましたが、妻自身も高齢で限界にきています。
●特養ホーム入所を申し込むも入れない
脳梗塞で倒れ、入院、治療、リハビリテーションの末、中度の左片麻痺(要介護3)が残った夫(77歳)を、妻が1人で介護していました。しかし妻も75歳間近で体調を崩しやすく、もう限界で最寄りの地域包括支援センターに相談に行きました。
要介護3の夫は、入所条件も満たしているので、遠方にいる子ども達とも相談した結果、特別養護老人ホームの入所申込みをすることになりました。
しかし、入所は1年以上先になりそうなので、このまま在宅生活を続けるにあたり、ケアマネジャー(介護支援専門員)に依頼することにしました。
●定期巡回・随時対応型サービスで在宅維持
そこで、ケアマネジャーから、妻の介護負担を軽減するためには、24時間365日利用できる訪問介護と訪問看護を提案されました。これは定期巡回・随時対応型訪問介護看護というサービスです。
要介護3の夫のトイレ介助や入浴介助などのために、1日数回定期的に訪問するサービスのほか、利用者からのコールに随時対応で訪問するサービスもあります。医療的ケアや服薬管理が必要な場合には、訪問看護の看護師も訪問します。1日何回利用しても費用は定額制なので、使いやすいでしょう。
ただ、全国的に見ると、この定期巡回型サービスは事業者がまだまだ少ないのがネックです。
この他にも、月に数回の訪問診療も加えて万全の体制で、特養ホーム入所を待つことになりました。
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介護業務運営・業務改善コンサルタント
元介護サービス情報の公表制度主任調査員
(株)やさしい手FC事業部(現:コンサルティング事業部)で6年間、FC運営指導業務を担当の後、独立し、2005年4月、有限会社業務改善創研を設立。介護事業者に対する介護事業運営とその業務改善に関わる指導、支援業務(コンサルティング)等を開始。訪問介護事業、居宅介護支援、通所介護、グループホーム、小規模多機能型居宅介護、サービス付き高齢者向け住宅などの事業運営に関するコンサルティングを行う。
2006年4月より神奈川県介護サービス情報の公表制度主任調査員を務め、現在までに330か所以上の介護サービス事業所、介護施設等の調査を担当。また、民間企業や地方自治体の主催する介護事業経営者、介護事業所管理者向けの数多くのセミナー、研修会等の講師を務める。
主な著書に、『訪問介護・通所介護・居宅介護支援 選ばれる事業所運営の鉄則』(日総研出版)、『標準化・効率化方針でこう変わった! 実地指導 基本と実務対応』(自由国民社)がある。
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