(※画像はイメージです/PIXTA)

超高齢化社会の日本では、介護は身近な問題です。ここでは、骨折した高齢母の入退院に悩む子のケースのほか、夫を1人で介護する妻の事例をあげながら、最適な介護サービス・施設の活用術を解説します。※本記事は長年に渡り介護事業の運営・マネジメントに携わってきた福岡浩氏の著書『プロの調査員が教える! 介護事業所・施設の選び方が本当にわかる本』(自由国民社)より一部を抜粋・再編集したものです。

高齢の母が転倒・骨折、遠距離に暮らす娘に負担が…

1人暮らしの母が自宅で転倒し、大腿骨骨折で入院しました。私も遠距離ですし、退院後の自宅生活は難しい状況です。

 

●入院中に退院後のことを考えないといけない

 

転倒して大腿骨を骨折する例はよくあります。骨折の程度にもよりますが、手術のために入院し、その後のリハビリテーションも必要ですから、入院期間は長くなります。しかし、最近の国の方針で在院日数(入院期間)の短縮を促すため、長く入院する患者の診療報酬が低くなるように設定されています。当然、病院は入院患者の早期退院を目指し、回転を良くしてベッドの空きを少なくし、効率よく運営しようとしています。

 

今では、入院時におおよその退院日を決める病院もあり、退院前に退院後はどうするかを決めなくてはなりません。病院には医療ソーシャルワーカー(MSW)がいて、相談に応じています。病院を運営する医療法人が病院とは別に介護老人保健施設を運営している場合があり、入所を勧められることがあります。

 

●特養ホームは万床ですぐには入れない

 

退院後、すぐには在宅復帰できないことが多く、77歳で1人暮らしですから、施設入所を検討する場合が多いと思いますが、本人が在宅復帰を望むのであれば、老健施設で在宅復帰のためのリハビリテーションを受ける選択肢もあります。しかし、在宅復帰が難しい場合には、特別養護老人ホームの入所を検討しなければなりませんが、すぐには入所できません。地域によっては、入所申込みから入所までに数ヵ月から1年以上もかかるという状況です。それまで老健施設に入所して空きを待っている要介護高齢者も多いのです。

 

こうした状況から、入院中に本人の希望を聞かずに、家族と病院のMSWや主治医の間で退院後の行き先を決めているケースや、急ぐあまり限られた選択肢を本人に示し、入所先の詳細を十分に調べずに安易に決めたケースも多く見受けられます。

 

例えば、一般的によく勧められるのは、住み慣れた自宅により近い環境で、生活支援サービスなどが受けられるサービス付き高齢者向け住宅や介護付きの有料老人ホームなどです。

 

1人暮らしの母親を、退院後に子の世帯が引き取れなければ、施設入所が有力になります。本人が積極的に術後のリハビリテーションを頑張って杖歩行レベルにまで回復した場合には、老健施設を経由して自宅に戻れる可能性もあります。

 

最近は、老健施設で特養ホームの入所待ち期間が長くなり、やむを得ずサ高住や有料老人ホームへ入居するケースも多くなっています。

 

運よく自宅に戻れた場合には、訪問か通所のリハビリテーションを利用してさらに生活機能の回復を図り、訪問介護の生活援助型で在宅生活を支えられながら、生活が成り立つ可能性もあります。

 

[図表1]退院後の在宅復帰のイメージ

 

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