75歳独居男性…自宅整備、生活機能訓練等で事故を防ぐ
75歳の父が住む田舎の実家に帰ったら、家の中のわずか2センチの段差に躓いて転んだり、靴下や靴を履く度によろけていました。ちょっと心配です。
●早めの介護予防策が事故を防ぐ
最近、高齢者がよく躓いて転びそうになったり、転んで膝をタンスにぶつけてあざになったとか、玄関で靴を履くときにバランスを崩して転びそうになったところなどを家族が見かけたら、転倒して骨折する危険があると考えましょう。
躓くのは、足の筋力が低下して歩くときに足が十分に上げられていないからです。また、身体のバランスも崩しやすくなっていると考えられます。まずは要介護認定を申請して、要支援1または2と認定されると、介護予防サービスが利用できます。
ただし、従来の介護予防訪問介護・介護予防通所介護は介護保険から外れ、同種のサービスは市区町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業となります。この事業は、要介護認定で「非該当(自立)」と認定された人でも、市区町村が判定する「事業対象者」に該当すれば利用できます。
●住宅改修で自宅をバリアフリー化する
家の中に手すりが全くないのであれば、介護保険の住宅改修を利用して、必要な箇所に手すりを取り付けたり、段差がある場所の段差を解消するリフォームができます(費用の上限は1家屋につき20万円まで)。
●生活機能訓練などを受ける
足のふくらはぎや太ももなどの下肢の筋力を強化するために、前述の市区町村の介護予防・日常生活支援総合事業の中の「通所型サービス」で、生活機能訓練などを受けて筋力の維持向上を図ります。
例えば、週2回程度の利用で、トレーニングマシンなどを使って全身の筋力を鍛えることにより、約3か月後には歩行が安定する例もあります。これは決して珍しいことではなく、利用者本人のモチベーション(やる気)と通所型サービスの個別機能訓練計画に沿ったプログラムの実施が重要です。
●機能訓練等で生活機能は改善できる
デイサービス利用開始以降の生活機能の変化を示したデータがあります。
食事や入浴、トイレ等の自立の変化を見ると、全体で、「変わらない」が52.5%で最も高く、現状を維持できていると考えられます。次に「以前より自分でできるようになった」が29.4%で、約3割の利用者が生活機能の改善が見られたことになります。
表で見ると、要介護度別で注目したいのは、要支援1、要支援2、要介護1は、「全体」よりも高い割合を示しています。これは、軽度のうちからデイサービスなどで生活機能訓練等を受けた方が効果を期待できるということでしょう。
福岡 浩
介護業務運営・業務改善コンサルタント
元介護サービス情報の公表制度主任調査員
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