高齢者のひとり暮らし世帯「約30%」の現実
高齢者の救急搬送時において大切なのは、症状を正確に把握することと、なるべく早く応急処置を行うことです。たとえば、高齢者に多い脳梗塞の治療においては、発症から4時間以内に処置ができれば、後遺症が残らない状態での回復が可能とされています。
一方、救急の処置が遅くなればなるほど、状況は悪化の一途をたどっていきます。
つまり、高齢者にとって緊急時の早期発見や早期処置ができる環境が重要なのですが、核家族化が進んだいまの日本ではそれがなかなか難しくなっています。
「高齢社会白書」によれば、65歳以上の高齢者がいる世帯は近年では全世帯の半数近くに達しています。その中でも注目すべきは、高齢者のひとり暮らし世帯が30%近くになっており、高齢者夫婦のみ世帯と合わせると、実に60%近くが高齢者しか家にいない状態だということです。この結果、救急搬送依頼が遅くなるケースも見受けられます。親と離れて暮らす方にとっては、気に留めておかねばならない現実です。
しかし、遠方に親が住んでいる場合は「遠くの親戚より近くの他人」です。親の近所づき合いや交友関係などを知っておくことや、折にふれてご近所へ挨拶をしておくことも大切です。親が暮らす地域の役所の福祉課、あるいは地域包括支援センターなどとも関係をつくっておくことをおすすめします。
常日頃から親を見守ってもらえる環境を構築しておくことで、いざというときに「早急な119番」へとつながっていくことが期待できます。いまからでも、地域との良好な関係づくりを心がけましょう。
河北 美紀
株式会社アテンド 代表取締役
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