余命宣告…残りの人生で家族のために何ができる?
人間の死亡率は100%です。永遠に生きる人は(おそらく)いません。病気で亡くなる方、不慮の事故や事件で亡くなる方。ご高齢で亡くなる方、若くして亡くなる方……皆それぞれ状況は異なりますが、誰もが死を迎えることになります。
なかなか死を受け入れることは難しいですが、50代で余命宣告を受けて、自分の余命を受け入れた上で、残りの人生で自分の妻や子供たちのためにできることを実行した人の話を紹介します。
生前対策の大前提は「本人の意思」
生前対策のそもそもの大前提は、「本人の意思」になります。いくら子供たちが将来の相続や相続税の心配をしても、本人にその意思が無ければ、遺言作成も、不動産の購入や売却も、養子縁組も、何もかも実現はしません。そもそも認知症などにより意思能力がなければ、これらの対策も絵に描いた餅です。認知症になる前に生前対策を実行する、ということは、実は現実的にはかなり難しいです。
その点、今回紹介する「50代で余命宣告を受けた人」は、明らかに「本人の意思」で実行することができたということになります。その一方で、余命宣告を受けた上でいざ家族のために相続対策を実行しようという精神状態になるまでの葛藤は、察するに余りあります。
一体この人は、何を実行したのでしょうか。
相続対策①…墓地や仏壇などの購入
まず、将来自身が入ることになる墓地や仏壇を購入しました。
墓地や仏壇は、相続税法の非課税財産として列挙されています。しかし、本人が亡くなった後に、ご遺族の方々が購入するのでは、たとえ本人の預貯金を使ったとしても、結果的に相続税の対象から外れることにはなりません。
亡くなった時点では「墓地や仏壇」という財産ではなく、あくまでも「現金預貯金」という形で財産として残っているためです。亡くなった時点で、「現金預貯金」が「墓地や仏壇」という財産に変わっていて初めて、相続税の非課税となります。
相続対策②…駐車場の分筆
続いて実行したのは、駐車場の分筆でした。
一体として利用していた広い賃貸駐車場があったのですが、測量して北側と南側とで同じくらいの価値になるように分筆をしました。子供2名(ともに20代)に北側と南側とをそれぞれ単独で取得してもらうために、将来かかるだろう測量費用等を本人が負担することで、課税対象となる預貯金を減らすこととなりました。
子供2名が揉めることがないようにという効果があると同時に、土地の相続税評価額も結果的に抑えることができました。分筆せずに、仮に共有取得をしたという場合は、北側の路線価と南側の路線価の二方を加味して相続税評価額を算出するところでしたが、北側と南側をそれぞれ単独取得することで、それぞれ一方の路線価だけを加味して評価することになるためです。
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