かつて、演歌の大御所が言っていた「お客様は神様です」という名言があります。本人によれば、その真意は「歌う時には、神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な芸を見せることはできない。だからこそ、お客様を神様とみて、歌を唄う。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件。それゆえお客様は絶対者、神様なのだ」というところにあるのですが、近年ではお客はお金を払うんだから神様のように偉い、そのように扱うべき、あるいは医師は治してやるから偉いんだといった考え方も横行しているようです。病院内でも、そのようなシーンを見かけることがちらほら……?

患者も医師も神様ではなく、お互いに人と人である

このモンスターペイシェントへの対応は、どこの病院でも苦労されているのではないでしょうか。処方された薬の効き目が弱い、診療費が高いといったクレームだけではなく、なかには「待ち時間が長いのはどういうことだ!」と激高した患者がいることも確かです。ましてや看護師にセクハラをする、悪態をつき暴力をふるう、など著しくモラルの欠けた振る舞いをする患者だって存在します。

 

病院としては、応招義務があるため、正当な事由がない限り患者を拒否することができないということがあり、簡単に出入り禁止にすることはできないのでしょう。

 

この場合、問題となっているのは病院と患者との感情のもつれが多いということ。長い時間待たされたら、患者だってイライラするというもの。待たせてしまったことに対して、申し訳ないという気持ちを言葉にすることができれば、相手も矛を収めるのではなでしょうか。他の患者だって待っているんだから、あとから来たあなたはもっと待たされて当然、というような姿勢では、患者がモンスター化してしまう危険性をはらんでいそうです。

 

大切なことは丁寧すぎる言葉遣いで患者を客に見立てて、神様のように扱うことではなく、対話力をもって患者の気持ちを汲み取り、対応することなのかもしれませんね。
 

 

 

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