かつて、演歌の大御所が言っていた「お客様は神様です」という名言があります。本人によれば、その真意は「歌う時には、神前で祈るときのように、雑念を払って澄み切った心にならなければ完璧な芸を見せることはできない。だからこそ、お客様を神様とみて、歌を唄う。また、演者にとってお客様を歓ばせるということは絶対条件。それゆえお客様は絶対者、神様なのだ」というところにあるのですが、近年ではお客はお金を払うんだから神様のように偉い、そのように扱うべき、あるいは医師は治してやるから偉いんだといった考え方も横行しているようです。病院内でも、そのようなシーンを見かけることがちらほら……?

丁寧に患者と接することは大切だが…

Bさんが会社の健康診断を病院で受けたときのこと。仕事の関係で指定医に行くことができなかったため、自宅の近所にある診療所へ行ったそうです。その日は胃カメラをすることになっており、事前に看護師の採血と問診がありました。そのときのやり取りで、Bさんは驚いたそうです。

 

「今、どこかお胸お痛みはございますか?」


「採血させていただくので、お袖おまくりいただいてもよろしいですか?」

 

たしかに「お」をつければ丁寧なイメージはありますが、「胸に痛みはありますか?」「袖をまくってください」でいいのでは、と思い看護師さんに伝えたそうです。ところが看護師さんからは「院長にそのような言葉遣いをするよう指導されていますので」と驚きのコメントが。モンスターペイシェント対策なのかもしれませんが、正直驚いたとのことでした。

次ページ患者も医師も神様ではなく、お互いに人と人である

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