賃貸市場…マンション市場、外国人の入国制限で不振
マンション市場
新型コロナの影響を最も受けている市場だといえます。昨年の感染拡大から賃料は20%~40%下落が続いています。現地ニュースサイトの「CAFEF.VN」の 7月7日付の不動産記事によると、ホーチミン中心地近郊の平均賃貸利回りは2区4.1%、7区4.4%、ビンタイン区3.9%、9区3.9%となっており、ホーチミン市全体での平均利回では2019年5.2%、2020年4.5%、今年の上半期では4%となっています。
【要因】
主に新型コロナの感染拡大が関連しています。大きくは外国人の入国制限による需要の急激な減少で、家主の経済的な苦境により、賃料を下げてでも入居率を上げようとする動きが理由となっています。
戸建(タウンハウス、ヴィラ)
こちらも上記同様、影響を受けています。「CAFEF.VN」の7月7日付の不動産記事によるとホーチミン中心地近郊の平均賃貸利回りは、2区1.9%、7区2.7%、ビンタイン区2.6%、9区2.4%です。こちらは主にベトナム人の賃貸者が多いため、賃貸価格の値下げ幅が大きくなっています。
【要因】
こちらも主に新型コロナの感染拡大が影響していますが、タウンハウスを利用した店舗なども多く、この状況下で解約・休業・閉店など、もろに影響を受けました。
商業店舗(ショップハウス、ショッピングモール)
CBREベトナムの「ホーチミン市小売店賃料レポート」によると、第4波の感染拡大のなかでも、1区中心地の商業ビル1階にある小売スペースは、前四半期も含め、依然として高い賃料となっており、市場全体が下落するなか、引き続き上昇を続けています。
小売スペースの提示価格は、平米あたり月額137USD(約1万5,000円)に達し、昨年の同時期に比べて1.2%上昇しました。一方、中心地以外での提示価格は平米あたり月額33.9USD(約3,700円)で前年比5.2%減少と、昨年の同時期の4分の1。空室率は前年比12%強上昇していることから、大幅に賃料を引き下げる傾向が強くなっています。
【要因】
中心地商業ビル内の小売賃料が下がらなかったのは、感染が拡大しているなかでも、5月まで店舗の閉鎖(6月から閉鎖)がなかったことと、この中心地商業ビルの空室率が常に2%未満であり、国際的なブランドショップが依然として出店を求めているため、賃貸価格への影響が少ないことにあります。反面、中心地以外の商業店舗は壊滅的で、多くの空室を出している状況です。
一部、市場回復の見通しも…住宅ローンの低金利が貢献
新型コロナの感染状況次第にはなりますが、2021年下半期に向けて楽観的な動きもあるので、下記に紹介したいと思います。
ベトナムの金融機関Vn Directが発表した2021年下半期から2022年までの戦略的レポートによると、現在の不動産市場のなかでも住宅販売は、市場の回復のおかげで今後多くの開発が見込まれているとされています。2021年の同時期の成長予想は7.1%、インフレ率はこれまでのところ2.9%に抑えられています。さらに今年の上半期に投資されたFDI(Foreign Direct Investment:海外直接投資)は、昨年同時期と比較して7%増加しました。 とくに不動産市場に直接影響を与えるインフラ整備が増えており、中国からベトナムへの生産シフト移転の増加が不動産市場を後押ししています。
市場回復のひとつには現在の住宅ローンの低金利があり、住宅需要の増加に貢献しています。Vn Directの予測は、「国内銀行の住宅ローン金利は、2021年上半期は9.2〜9.5%と比較的安定しており、6年ぶりの低水準。2021年下半期も変わらず低金利水準を維持する見込みであり、特にミレニアル世代の不動産需要を促進するだろう」というものです。
ベトナムの不動産市場は新型コロナの影響を引き続き受けるものの、ワクチンの摂取や感染拡大対策を踏まえ徐々に抑えて行くと予想します。依然として都市部での住宅供給数は少なく、とくに最も住宅を必要とするミレニアム世代向けの手頃な価格の住宅(ローミドルクラス2,500万VND~3,500万VND/平米)以下の供給があれば、買い手はすぐにつくでしょう。
これまでも述べてきた通り、ベトナムでの不動産投資で成功するにはベトナム人の動向の把握が不可欠です。これがベトナムでの不動産投資で成功するコツです。
徳嶺 勝信
VINACOMPASS Co., Ltd.
General Director
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