(※写真はイメージです/PIXTA)

現役医師である中村重信氏、梶川博氏の著書『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』より一部を抜粋・再編集し、家族や医療従事者が知っておきたい認知症の症状、治療法について見ていきます。

認知低下を引き起こす疾患①:無酸素・低酸素脳症

窒息を起こした後に認知機能が低下することがあります。早期酸素吸入によって回復しますが、時間が経過すると元に戻りにくくなります。

 

高圧酸素療法も一つの選択肢です。

認知低下を引き起こす疾患②:臓器不全疾患

種々の臓器が障害されて、その機能が十分発揮できなくなると、認知機能が障害されます。多くの場合はせん妄ですが、認知症とした方が適当なものもあるので、すべてを含めて紹介します。

 

a)腎不全、透析脳症:慢性腎疾患やその治療のための透析によって、認知症のような症状(せん妄のことが多い)が現れる場合には、血液の電解質などを正常化することによって症状が改善することがあります。

 

b)肝不全:肝臓の機能が悪くなると、肝臓で処理されるアンモニアなどが血液にたまり、脳の働きを悪くします。これを肝性脳症といいますが、認知機能障害のほかに、手が震えるとか歩きにくくなります。分岐鎖アミノ酸を点滴したり、カナマイシンなど腸から吸収されにくい抗菌薬を内服すると認知機能も良くなります。

 

c)心不全:心臓の働きが悪くなると、脳へ行く血液が少なくなる結果、脳に必要な酸素やブドウ糖が減って脳の働きが悪くなり、認知機能が低下します。利尿薬などによって心臓の働きを良くすると認知機能も改善します。

 

d)呼吸不全:肺炎など肺に疾患があると、酸素が血液に渡らず、脳が酸素欠乏になり、脳の働きが悪くなり、認知機能が低下します。これを肺性脳症といいます。新型コロナ感染症もその一つと考えられます。細菌性肺炎などの病気を抗菌薬などにより治療すると、認知機能も良くなります。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症の人が見る景色 正しい理解と寄り添う介護のために』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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