医療機関が利益を生み出すのは「悪」ではない
一般に、医療機関が利益を生み出すことを、あまり「よし」としない風潮がありますよね。スタッフたちもやはりその一員なんです。医療側の人間なのに、気持ち的には違うんです。
スタッフがそう思っていたら、絶対に利益の上がる活動をしません。ですから、どうして医院には利益が必要なのか。利益を出さない企業こそ、社会的には本当は「悪」なんだという当たり前のことを、ちゃんと教えて理解させてあげる必要があります。
利益を出さないと、設備投資もできません。患者さんに良い治療を提供することもできません。
「院長、トイレが壊れました」とか「機械が壊れました」といっても修繕費も出ない。利益が出ないと、借金の元本も返せないから倒産してしまう。君たちも仕事を失うし社会活動もできないんだよ。だから、医療機関が利益を生み出すことは決して『悪』なんかじゃないんだ。そんな「今さらですか?」な話を、やっぱりしなくちゃいけないんです。
何も教えないと、彼女たちは「院長、儲けていい生活がしたいだけなんでしょう」って、本気で思っていますから。これではスタッフの働く意識も決して高くはなりません。
最近では、スタッフに年間で決めた数値目標の話もしています。ひと月が終わったら、次の月の朝礼で、先月は患者数がこれぐらいで、売り上げはこれぐらいでしたって伝えるんです。数字に対しての意識があるかないかで、確実に働き方も違ってきます。
患者数が頭打ちなら単価を上げる「戦術」が必要となる
売り上げとは・・・「数量×単価」です。
「なんだよ、それ! 当たり前じゃないか!」って思われる方も多いと思います。しかし、このシンプルな答えがなかなか出てこない経営者は非常に多いんです。これさえ理解していればここから分析ができます。逆にこれが頭に入っていないと、前に進めません。
歯科医院の場合、「①数量×②単価」=「①患者数×②単価」ということになります。そして「①患者数」=「③来院頻度×(④既存患者+⑤新規患者)」と置き換えられます。
ここまではいいですね。では、ここからさらに細かく分類してみましょう。
「④既存患者」=「⑥来院患者数×⑦回転率」
「⑤新規患者」=「⑧未・来院患者数×⑨訪院率」
「②単価=⑩平均点数(平均金額)×⑪治療本数」
となります。売り上げを上げるには⑥〜⑪の要素を強化する明確な戦術が必要になってきます。
保険診療中心の医院なら患者数を増やすことに戦術の軸足を置き、患者数が頭打ちなら単価を上げる戦術を考えなければいけないということです。本当は、どちらかではなくて全てを考えないといけないですよ。売り上げは掛け算でできているんですから。賢明な皆さんならこの大きな意味がお分かりいただけると思います。