「1分のロス」を防ぐことで大きな利益を生み出す
歯科医院の売り上げを伸ばすために、まず一般的に取り組みやすいのは「数量=患者数」を上げていくことです。
例えば、筆者の歯科医院に限ってお話をすれば、1日の来院患者数はほぼ毎日120人を超えます。でもチェアーは6台。診療時間は1日普通に8時間です。「無理でしょ?」って思いますよね。
ここで「無理だ」って思ってたら絶対に壁は超えられません。ところが現実に毎日できてるんですよね。そう言うと「どうせ適当にやってんでしょ?」って陰口叩かれます(笑)。でも患者さんもバカじゃないんで、適当にやってたら離れていきます。
それに、賢明な歯科医師ならお分かりかと思いますが、むしろ適当にやっている方がリスクが高いですよね。僕は一生この地で歯科医院をやっていくのですし。
意識を変えることです。できてる人もいるわけですから、自分でリミッターをかけないようにトレーニングすることが重要です。
例えば1人の患者さんの治療時間を、他の医院より1分短くできるように努力するんです。そうすればトータルで2時間も縮まります。それくらいのロスって出ていませんか? そこを徹底的にチェックして改善していくんです。たった1分のロスの短縮で、1日10時間診療の医院と同じことができるんです。
もしも4分縮めることができたら・・・、2日分の診療を1日で叩き出せます。そんなほんのちょっとの違いを見逃すか、気付くかで大きな差が生まれるのです。
お客さんの目線に立ったプレゼンが「自費率」を上げる
次に来るのは「単価」を増やす戦略です。「単価」とは自費診療です。一概に「自費率を上げる」といっても、なかなか難しいです。
患者さんには、自費=高いものっていう感覚があります。僕は保険治療の限界を知っているので、家族の治療をするとしたら保険治療はしません。ほとんどの歯科医師の先生も同じでしょう。
しかし、患者さんはそういうことを知らないので、メリット・デメリットの情報を正確に提供することが大事です。患者さんにとって正確な情報をお伝えして、患者さんの人生にとって有効な選択を患者さん自身にしていただくのです。それにはちゃんとしたプレゼンが必要です。そして、そのプレゼンの仕方で、結果は大きく変わります。
例えば、カメラを売る時に、「4万分の1のシャッタースピードを可能にします」とプレゼンされても全然欲しいと思いませんが、「このカメラであなたの子供さんの運動会をこんなに綺麗に撮れるんですよ」って紹介すると、「欲しい」という気持ちが動きます。
売る側の理屈ではなく、お客さんの目線になって話をすることが重要なんです。「プレゼン能力」=「自費率の差」と言っても語弊はないでしょう。
僕の歯科医院では歯科助手(TC・トリートメント・コーディネーター)が行いますが、患者さん目線のプレゼンのトレーニングをしているせいか、岐阜市の平均12%の自費率に対して40%を超える数字になっています。