金融相場から業績相場へのシフトが進む株式市場 (※画像はイメージです/PIXTA)

2020年は主に予想PER(株価収益率)の拡大が株式市場の上昇をけん引する「金融相場」となったが、今年の株式市場ではむしろ予想PERは縮小傾向にある。その一方で、予想EPS(一株あたり利益)は今年に入ってからも上昇基調が続いており、足元では利益成長が株式市場の上昇をけん引する「業績相場」へのシフトが進んでいる。

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先進国株式市場は引き続き堅調な展開

MSCI先進国株指数のチャートから明らかなとおり、先進国株式市場は昨年3月のコロナショック後は堅調な展開となっている(図表1)。この要因として一般的に挙げられるのが、主要各国地域における①大規模な財政支出、②積極的な金融緩和、そして③新型コロナワクチンの接種拡大だ。

 

日次、配当込み、米ドル建て、19年12月31日=100で指数化 期間:19年12月31日~21年7月9日 MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表1]MSCI先進国株指数の推移 日次、配当込み、米ドル建て、19年12月31日=100で指数化
期間:19年12月31日~21年7月9日
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、②の積極的な金融緩和が「現在進行形」で行われているにもかかわらず、予想PERは年初来で低下傾向にある(図表2)。昨年3月のコロナショックの際には予想PERが12倍台まで低下し、その後は昨年6月にかけて21倍台まで急上昇するなど、2020年は予想PERの拡大が株式市場の上昇を主にけん引する「金融相場」となった。だが、今年に入ってからの株式市場では、むしろ予想PERが幾分低下する逆転現象が起こっている。

 

日次、単位:倍、コンセンサス予想(ブルームバーグ集計) 期間:19年12月31日~21年7月9日 
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]MSCI先進国株指数の予想PER(12ヵ月先)推移 日次、単位:倍、コンセンサス予想(ブルームバーグ集計)
期間:19年12月31日~21年7月9日
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

利益成長が株式市場の上昇を牽引する「業績相場」へのシフトが継続中

一方、予想EPSは昨年3月にボトム(底)をつけた後、右肩上がりで上昇基調となっている(図表3)。予想PERの急上昇からも見て取れるように、コロナショック直後の先進国株式市場は期待先行型で上昇していた(予想EPSは低迷)。

 

日次、米ドル建て、コンセンサス予想(ブルームバーグ集計) 19年12月31日=100で指数化、期間:19年12月31日~21年7月9日 
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD) 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表3]MSCI先進国株指数の予想EPS(12ヵ月先)推移 日次、米ドル建て、コンセンサス予想(ブルームバーグ集計)
19年12月31日=100で指数化、期間:19年12月31日~21年7月9日
MSCI先進国株指数:MSCI World Net Total Return(USD)
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

しかし、新型コロナワクチンの開発が急ピッチで進められる中、経済正常化のシナリオが徐々に現実味を帯びていく過程で、その後は企業業績の見通しも上方修正が進んだ。そして、主要各国で新型コロナワクチンが緊急承認され、ワクチン接種が拡大していくにしたがって、予想EPSはさらに上昇傾向が強まり、その傾向は現在でも続いている。つまり、株式市場では上昇のけん引役が予想PER(金融相場)から利益成長(業績相場)へシフトしていることがうかがえる。

テーパリングはすでにコンセンサス化。今後はバリュエーションよりも企業業績が重要に

すでにFRB(米連邦準備制度理事会)によるテーパリング(量的緩和縮小)についてはコンセンサス化しており、年内にFOMC(米連邦公開市場委員会)又はジャクソンホール会議においてテーパリング実施に向けた言及があったとしても、大きなサプライズにはなりにくい状況だ。この状況を反映して予想PERが年初来で低下傾向にあるのであれば整合性が取れる。今後の相場を見通すうえでは、企業業績の見通しがより一層重要になるだろう。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『金融相場から業績相場へのシフトが進む株式市場』を参照)。

 

(2021年7月12日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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