「修正失業率」から「米金融緩和見直し」を考える
米国の政策金利であるFFレートは失業率と密接な関係があります。このため、両者の関係性がより高まるように、失業率の直近値から過去10年の平均値(10年MA)を引いて求めた「修正失業率」を参考に、米金融緩和見直しについて考えてみましょう。
リーマン・ショック後の金融緩和見直しについては、2014年1月に「テーパリング」と呼ばれる緩和の縮小が始まりました。これは、「修正失業率」がマイナスに転落、別ないい方をすると失業率が10年MAを下回ったタイミングと一致していました(図表7参照)。
足元の米失業率の10年MAは5.9%。6月初めに発表された米5月失業率が5.8%と10年MAを下回ると、その後行われた6月FOMCは、一般の予想以上に金融緩和見直しに前向きと受け止められるところとなりました。
以上を整理すると、コロナ・ショック対応の金融緩和見直しが現実味を帯びるかは、米失業率が10年MAの5.9%を継続的に下回るかがひとつの目安だといえます。米2年債利回りを介して、米ドル/円の行方にも大きく影響する可能性がありそうです。
吉田恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
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