(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載では、仕事の帰りに脳出血で倒れ、一時意識不明の重体になるも、一命を取り留めた経験を持つ宮武蘭氏が、脳出血の後遺症やリハビリの実際を解説していきます。

スタッフの質問「気持ちの落ち込みはないですか?」

「気持ちの落ち込みとかないですか?」入院当初、病院スタッフによく聞かれた。「特にないです。こうなったのは仕方ないですし、リハビリ頑張るしかないので」と答えると、「そうですか、何かあったらおっしゃってください。ご無理なさらないでくださいね」と優しい言葉をいただいた。

 

気持ちの落ち込み。ないと言えば嘘になるが、それを表出する気持ちはなかった。救急搬送された病院で悲しみの涙は出し尽くした。私より大変な状況で闘っている患者達の息遣いや気配りを忘れることはなかった。

 

だから、転院先の今の病院では、前を向くしかないと覚悟を決めていた。何度も「大丈夫ですか? 気持ちの方は?」と聞かれたが、「こうなったことは本意ではないですが、納得していますから大丈夫です」と答えると、それ以降、聞かれなくなった。

体の自由を失って初めて、命や健康の大切さに気付く

淡々とリハビリに取り組む日々。病院内の環境や人間関係など、小さなことを悩みに変えてしまうことは簡単だ。だが、そのエネルギーは回復するエネルギーを減退させると確信していたので、極力悩んだり考えたりすることから距離を置いた。

 

実は昔から、人前では強がっても、小さなことにも反応し、深く悩む性格だった。この性格もリハビリしていこうと思っていた。明るくリハビリに取り組む。

 

『なるほど!』と、リハビリの効果に感心する。笑顔で他の患者と挨拶する。昨日より今日今日より明日何か良いことがあるように過ごす。他人と自分を比べず自分に注視して自分に軸を置き周りの方へ感謝して過ごしていく。

 

『体もだが心もリハビリし、絶対にもう一度這い上がるんだ』と胸に秘めていた。多くの様々な病気と闘っている方々が、それぞれ心の揺れを持っていると思う。気持ちが弱ったり、悲しくて泣きたくなったり、涙を流したり、どうにもならない現状に怒りを露わにすることもあると思う。皆それぞれ、己の命と向き合い、日々生きている。

 

ぼんやり分かっていたつもりの様々なことが、倒れて体の自由を失って初めて、ようやく命や健康の大切さに気付く。毎晩、消灯時間に暗くなった病室のベッドに横たわり、動かない重たい右半身を感じながら思考を巡らせた。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『アイアムカタマヒ 右半身麻痺になった中年女の逆境に打ち克つリハビリ体験記』より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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