(※写真はイメージです/PIXTA)

本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。今回は、東京に4回目の緊急事態宣言が出たことを受けて、日本株の今後の見通しについて見ていきます。

今後の日本株…ワクチン接種率の上昇で海外資金流入か

新型コロナの感染者数の増加を受け、日本政府が東京都に対し「緊急事態宣言」の発令を決定したことに加え、中国経済の先行き不透明感やETFの決算に絡む分配金捻出の売り圧力などが嫌気され、日経平均株価は、28,000円台を割り込んで先週の取引を終えた(7月12日時点)。

 

2月16日のザラ場でつけた30,714.52円を高値とした短期の調整局面が継続しているとみており、ポートフォリオにおいては、ニュートラル(ロングとショートを同額ずつ)を継続し、銘柄選別でパフォーマンスを高める戦略を基本としている。

 

足元、日本では高齢者を中心に自治体での新型コロナワクチンの接種が進展し、6月下旬からは企業や大学での接種の取組みが本格化し始めている。

 

ワクチンの供給不足問題による受付の一時停止の動きに加え、日本政府が東京都に対し「緊急事態宣言」の発令を決定(4回目で、期間は7月12日から8月22日まで)したことなどは懸念材料であるが、国内のワクチン接種率が今後も上昇し、欧米にキャッチアップしていくといった大きな流れに変化はないとみられる。

 

株高で先行している欧米と比較し、日本株の出遅れは顕著になっており、今後は国内のワクチン接種率の上昇に伴い、海外投資家のグローバルアロケーション(資産配分)の資金が流入するとみる。

「ドル建て日経平均」と「52週移動平均線」に注目

そうしたなかでは、リオープニング(経済再開)銘柄の押し目買いは有効な投資戦略になりうると考える。また、景況指数にピークアウト感が見られるなど中国経済への先行き不透明感が強まっているが、米国のクリスマス商戦や中国の旧正月に向けて最終製品需要(受注を含む)が市場予想を上回るようであれば、日本のハイテク関連銘柄への物色意欲も高まると想定している。

 

テクニカル面では、週足のドル建て日経平均、円建て日経平均ともに13週線が26週線を上から下回る「デッドクロス」を形成し、トレンドは悪化している。とはいえ、円建て日経平均と比較してトレンド悪化が先行している「ドル建て日経平均」が、52週線を下値としながら13週および26週線を逆行して突破する動きとなれば、薄商いのなか、国内勢のショートの巻き戻しも含め、先物を通じて強い買い圧力がもたらされる可能性もある。

 

そのため、週足のドル建て日経平均のトレンドに改善の兆しが見られたタイミングで一旦、ショートポジションの一部を外すことも一案だろう。

 

ちなみに、ドル建ての日経平均は海外投資家が活用することも多く、この指数が上昇するケースとして、株高とドル安円高が並存する動きとなる場合や、ドル高円安の動き以上に株高がもたらされる場合などが考えられる。

 

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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