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人生の終わりに向けて自身の身の回りの持ち物や財産を整理する「生前整理」。今回は、生前整理のやり方・始め方について見ていきます。

お金や財産にかかわるものの整理

お金や財産にかかわるものの整理では、いるものといらないものに分けるだけでなく、万が一のときに必要なものはすぐ出せるようにしておくことも重要です(図表2)

 

[図表2]

 

■必要なものはすぐ出せるようにする

万が一のときの葬儀費用や家族の当面の生活費として、生命保険に入っている人も多いでしょう。保険金をもらうときは、保険証券があると手続きがスムーズです。また、自宅など不動産を相続する場合は、不動産の権利証(登記識別情報)が必要になります。

 

これらの大切な書類や預金通帳など、万が一のときに必要になるものは、どこか一か所にまとめておくことをおすすめします。ただし、印鑑も一緒に保管すると盗難のリスクがあるため、別々に保管したうえで家族に保管場所を伝えておくとよいでしょう。

 

■いらない口座・カードは解約する

使いみちに応じて銀行口座を複数持っている人は多いでしょう。就職や転勤など人生の節目で口座を新たに作るケースもあります。証券口座も含めて金融機関の口座がたくさんあると、遺族は預けているお金を引き出すのに手間がかかってしまいます。

 

クレジットカードについても同じことがいえます。店頭で勧誘されて、気がつけばカードの枚数が増えていたということも少なくないでしょう。

 

お金に関する生前整理では、手持ちの口座やクレジットカードを確認して、利用していないものや今後必要ないものがあれば解約するようにしましょう。

 

金融機関の口座が必要なものだけに絞られれば、金融機関名や口座番号などを記載した一覧表(財産目録)を作成します。ネット銀行やネット証券には通帳がないため、存在がわかりづらくなります。大切な財産が宙に浮く危険性もあるので、もれなく明記するようにしましょう。

 

なお、財産目録をパソコンで入力して作った場合は、必ず印刷しておきましょう。パソコンがパスワードで保護されていれば、せっかくの情報も家族に見てもらえません。

生前整理で注意しておきたいこと

生前整理をするときはいくつか注意しておきたいことがあります。ここでは、不要品の引き取りを業者に依頼するときの注意点と、暗証番号・パスワードの取り扱いについてお伝えします。

 

■不要品引取業者の選び方

前の章では不要品を売却できることをお伝えしましたが、不要品の数が多い場合や時間をかけたくない場合は、業者に一括で引き取ってもらうこともできます。

 

ただし、不要品引取業者も千差万別で、高価なものがあっても安値で買いたたいたり、不当に高額な報酬を要求したりといった悪質なケースもあるようです。できるだけ複数の業者から見積もりを取るなどして、比較検討することをおすすめします。

 

■暗証番号・パスワードの管理には注意

暗証番号やパスワードは生前に他人に知られては困るため、慎重に取り扱う必要があります。

暗証番号・パスワードを安全に残しておくためには、メモを封筒に入れて封をするなどしておきましょう。市販のエンディングノートには、コインなどで削るスクラッチシールで情報を隠せるものもあります。

 

〇パソコンのログインパスワード・スマホのロック解除方法

パソコンやスマートフォン(スマホ)に保存しているデータを家族に見つけてもらいたい場合は、パスワードやロック解除方法を書き残しておきましょう。パスワードやロックを解除する専門業者もありますが、必ずしも解除できるとは限りません。

 

〇銀行・証券の暗証番号・パスワード

キャッシュカードの暗証番号や銀行・証券のネット取引のパスワードは、生前に自分が取引するときには必要ですが、死亡後の解約には必要ありません。安全のためには、むしろ書き残しておかない方がよいかもしれません。

 

ただし、入院したときなど家族に預金を引き出してもらいたい場合や、自分が忘れた場合に備えるためであれば書き残しておいてもよいでしょう。

「遺言作成・相続税対策」へステップアップ

生前整理ができれば、終活の次のステップである遺言作成や相続税対策も考えてみましょう。

 

遺言書は、遺産を誰にどれだけ渡すかといった事項を定める法的な書面です。遺言書があれば、相続人は遺言書で指定されたとおりに遺産を分け合うことになり、遺産相続をめぐるトラブルを防ぐ効果があります。

 

また、財産が一定額(3,000万円+600万円×相続人の数)以上あれば、相続人は相続税を申告・納税しなければなりません。相続税は高額になることもありますが、不動産投資や生命保険への加入といった生前の対策で税額を抑えることができます。

 

遺言書の作成や相続税対策は、書籍などを参考にして自分ですることもできますが、確実に行いたい場合は専門家に依頼することをおすすめします。遺言書の作成は弁護士・司法書士または行政書士に、相続税対策は相続税専門の税理士に相談しましょう。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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