身の回りのものの整理
身の回りのものの生前整理は、普段の片づけや大掃除とあまり変わらないかもしれません。しかし、生前整理には次のような特徴もあります。
・家族に受け継いでもらいたい大切なものを明確にする
・デジタル機器の情報を整理する
デジタル機器の情報とは、パソコンやスマートフォン(スマホ)などに保存しているメールや写真などのデータのことです。銀行・証券のネット取引にかかわる情報も含まれます。
デジタル機器の情報の扱いは本人にしかわからないため、万が一のときに家族にどのようにしてほしいか、何らかの意思表示が必要です。
ここでは、身の回りのものの整理方法を、「形があるもの」と「デジタル機器の情報」に分けてお伝えします(図表1)。
■形があるものの整理
まずは、身の回りにある形があるものを整理しましょう。自身がどれだけの物を持っているかを確認したうえで、身の回りのものを「必要なもの」と「必要でないもの」に分けていきます。
しかし、整理を始めてみても、どれが必要でどれが必要でないかの判断は難しく、結局何も捨てられないということも起こりがちです。場合によっては、「一年以上使っていないものは特に思い出があるものを除いて捨てる」といった、少し荒っぽい方法も必要になるかもしれません。
次にご紹介するように、いまでは片づけなどに関する書籍が多数出版されているので、それらも参考にして進めていくとよいでしょう。
どうしても捨てることに抵抗がある人は、無理に捨てることにこだわらなくても構いません。ひとまず、身の回りのものを「必要なもの」と「必要でないもの」に分けるだけでも効果があります。
■デジタル機器の情報の整理
形としてあるもの以外にも、パソコンやスマホなどデジタル機器の情報も整理しておきましょう。パソコンやスマホはパスワードで保護されていることが多く、家族であっても中を見ることが難しい非常に機密性の高いものです。
万が一のときに遺族が機器のパスワードを解除できなければ、大切な情報や思い出の写真が永遠に見られなくなる可能性があります。一方、遺族が業者に依頼してパスワードが解除されると、見られたくない情報を見られてしまうかもしれません。
デジタル機器の情報の整理では、「機器から取り出してほしいデータ」と「家族に見られたくないデータ」を区分します。
機器から取り出してほしいデータについては、万が一のときにどうやって取り出せばよいかメモを残しておきましょう。市販のエンディングノートを利用してもよいでしょう。
見られたくないデータについては、個別にパスワードをかけるか、不要であれば消去するなどしましょう。
Twitter(ツイッター)、Facebook(フェイスブック)といったSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や、個人ブログを利用している人は、万が一のときの退会方法を調べておきましょう。死亡後もそのままにしていると、悪意のある他人に乗っ取られる危険性があります。
ほかには、次のようなことをしておくとよいでしょう。
・連絡先のデータは紙に印刷しておく
・思い出の写真はプリントしておく
・不要なデータは消去しておく
■不要品は売却することもできる
身の回りのものを整理した結果、必要でないものが大量に出るかもしれません。これらのものは、捨てるだけでなく売却するという選択肢もあります。
単行本やCDなどは、古書店やリサイクルショップで買い取ってもらうことができます。店頭に持ち込むほか、宅配でも買取サービスを行っている場合があります。なお、雑誌の買取は行っていないこともあるので、事前にホームページなどで確認しましょう。
貴金属やブランド品など価値のあるもの、美術品など専門性の高いものは専門店で鑑定してもらうことをおすすめします。価値があることを知らないで捨ててしまうのはもったいないことです。
また、フリマアプリやネットオークションなど、個人どうしで売買できるシステムを使って自分で売却してみるのもよいでしょう。思いがけない高値がつくこともありますが、取引で起こったトラブルの責任は自分で負わなければなりません。
売却しないで捨てることになった場合でも、捨て方には注意が必要です。自治体の定めるルールに従って分別しましょう。
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